仕事などが忙しく久しぶりに親に会うと、また年をとったなとしみじみ感じられるときがあるものです。離れて暮らしているためか、親にかかわる日常的な事柄について知らないことが増えていくような気もしますね。しかし、親自身が管理している情報を子どもが把握していないと、いざというときに困ってしまうかもしれません。
親が健康で元気なときにこそ聞いておきたい生命保険の話についてご紹介します。
親の老後が不安?
健康なうちに聞いておきたい生命保険のこと
2019年1月9日



生命保険の内容を知りたいとき
突然やってくるトラブル
あなたは、自分の親がどんな生命保険に加入しているか知っていますか。医療特約付の生命保険や死亡保障付の医療保険など、保険の種類はさまざまです。親が元気なときにはあまり考えたくないことかもしれませんが、下記のような事例が存在するのも事実です。
・親が急死したが、どんな生命保険に加入していたかわからない
・親が突然倒れて入院し、会話がままならないために保険の加入状況がわからない
保険は、もしものときのために加入しておくもの。しかし、いざ使おうと思ったときにスムーズに使えないと余計な手間や精神的負担が増えてしまいます。
専門家に頼むと時間もお金もかかる
中には、保険の内容について親に尋ねることを躊躇してしまう人もいるでしょう。保険の話を振ろうにも「縁起でもないことを考えて不快」といった反応を見せそうな親御さんもいるかもしれませんね。また、デリケートな問題だからと子どもが慎重になりすぎてしまうケースもあります。
しかし、簡単な例で考えてみれば、わかりやすく納得できるはず。例えば自分自身の金欠に備えて緊急用のお金をどこかに保管しておいたとします。急な出費でお金が足りなくなり、緊急用のお金の出番だと思ったところで、お金の保管した場所を忘れるなどしてわからない状況であったら緊急用という目的を果たせません。
生命保険の話に戻りますが、親の加入している生命保険がどうしてもわからないという状況のときは弁護士に頼んで調べてもらう最終手段もあります。しかし、弁護士に依頼すると時間もお金もかかってしまいます。できればそのような状況に陥らないように、普段から備えておいたほうがよいのではないでしょうか。
急なトラブルが起きてしまった場合
保険に関係する書類を探す
親の加入している保険について話を聞いたことがなく何らかのトラブルが起きてしまった場合、何をしなければならなくなると思いますか。下記の手段などで保険に関係する書類等を探さなければならず、いわゆる家捜しが必要となります。
・保険証書を探す
・生命保険控除証明書を探す
・契約内容のお知らせを探す
・生命保険会社名の入ったグッズを探す
・銀行の通帳から保険料引き落としの記載を探す
ただでさえ急なトラブルへの対応で大変なときに、こんな手間が増えてしまうのです。しっかり聞いておくべきだったと後悔する人のいることが容易に想像できますね。
加入していない人もいる
親が生命保険に加入しているかどうかを尋ねた結果、未加入とわかるケースもあるでしょう。親が保険に加入していなくて大丈夫だろうかと不安になる人もいます。
しかし、保険に入る必要があるかどうかは、死亡したときや病気やケガをしたときに必要となるお金がどれくらいかという問題で決まります。一般的に、保険は年齢が上がれば上がるほど保険料が高くなる仕組みとなっています。子どもが成人していれば教育費などのために備える必要もないはず。また、ある程度の預貯金で対応できるという考え方もできます。
医療機関における医療費の自己負担割合は70歳未満であれば3割ですが、70~74歳であれば2割、75歳以上の人は1割です(現役並み所得者は年齢にかかわらず3割)。公的な支えとなる高額療養費制度においても70歳以上の人の自己負担上限額は低く設定されています。慌てて生命保険や医療保険に加入させなければと考える必要はないため、冷静に判断しましょう。
出典:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/bunya/shakaihosho/iryouseido01/info02d-37.html、https://www.mhlw.go.jp/content/000333276.pdf)
いざというときに困らないために
情報を共有しておく
いざというときに親の生命保険の加入状況をすぐわかるようにしておきたいものの、それまでは保険の中身まで知らなくていいという場合は下記の対応でよいでしょう。
・大事な書類の置き場所を教えてもらっておく
・契約している保険の種類、保険会社、利用銀行を教えてもらっておく
とりあえず、どんな保険会社を利用しているのかがわかっていれば、いざというときに詳細を調べるだけで済みます。ついでに利用銀行も知らせておいてもらえれば後のお金のやりくりのときに役立ちます。
保険会社の家族登録サービスを利用する
なお、保険会社によっては、保険内容の共有サービスを提供している場合があります。契約者だけでなく、契約者の家族の情報も登録してくれる仕組みです。
このサービスを使うと、家族が、契約者となっている家族の契約内容をスムーズに把握できます。また、災害や引っ越しなどにより契約者と連絡がつかなかったり郵便物が届かなかったりしたときに別居の家族と連絡がつくなど、保険会社側にとってのメリットもあるのです。
もしものときに備えた情報は、信頼できる家族同士で共有しておくと安心なものです。親の情報だけを聞き出すのが難しいのであれば、自分の情報も提供して、お互いのために共有しようと持ちかけてみてもよいかもしれません。タイミングを見て、親の加入している保険のチェックをしてみてはいかがでしょうか。