人生で一番高い買い物と言えば“住宅”ですが、マンションギャラリーを訪れて、ふわふわとした気持ちで契約‥なんてことになったら大変! 資金繰りに無理がないか、自分のライフスタイルにあっているかなど、購入の基準をしっかり決めておきましょう。意外と忘れていること、気づいていないことがあるかもしれません。そこで購入前に知っておいてほしいことを5つピックアップしてみました。
ちょっと待って!
これから家を買う人が知っておいた方がいいこと5選
2018年11月26日
家を買いたい理由を考える
家を買おうとしている人に、家を買いたい理由を尋ねるのは愚問のようですが、大事なことを見落とさないために、一番最初に考えてほしいところです。
資産として見るのか住まいとして見るのか
家は人生最大の買い物です。誰しも失敗はしたくありません。そこであなたが家というものを“資産”として考えているのか、“住まい”として考えているのかで、買う家の種類が変わってきます。
「とにかく資産価値の高い家を!」と考えれば、駅近は絶対条件でしょう。多少狭くても買い手がすぐに見つかりそうな流動性の高い物件を選ぶといいと思います。
「家は住んでなんぼ、売れないならずっと住み続ければいい」と考える人であれば、利便性よりも住まいとしての快適さで選ぶと思います。
たいていは、はっきり分かれるものではなく、「両立が出来ればベストだけれども、どちらかと言えばこちら‥」程度の選択になるかと思います。それでも、最初に考えておきましょう。なぜなら、家を買うと必ず「ああすればよかった、こうすればよかった」と後から出てくるからです。その時に、「こういう考えだから」と自分で納得できれば後悔にはなりません。
ライフスタイルにあっているか
家選びはその後の生活すべてに影響します。そのため、自分のライフスタイルにあっていない家を購入してしまうと大きなストレスとなり、人生設計までもが狂ってしまいます。
そうならないためには、ライフプランをしっかり立てることが重要です。
未来をできるだけ具体的に思い描く
紙とペンを用意して、自分の理想とする未来図を描いてみましょう。できるだけ具体的に思い描きましょう。次に、ライフイベントとしてそれらを時系列に落とし込んでいきます。
最初は夢物語のようなものでも、具体性を持たせていくうちに現実的になっていきます。
こうしてできたライフイベント表をもとに、次に紹介するライフプランを作ります。
資金繰りに無理がないか
ライフイベントを実現させるための資金計画として、ライフプラン表を作成します。
なかなかゼロから作成するのは大変なので、Web上にたくさんあるライフプランシミュレーションを利用してみるとよいでしょう。もっと正確に作成してみたいという人は、ファイナンシャルプランナーに依頼してみるのも手です。
ここでしっかりと資金計画を立てられれば、住宅購入の資金がいくらであれば無理のない家計運営ができるのかが割り出せます。
一般的に家の価格は年収の5倍までと言われていますが、ライフプランによって、それ以上のものが買える場合もあれば、買えない場合もあります。たとえば、生涯共働きでいくのか、子供ができたら仕事をやめるorパートで働くのかで、世帯収入が大きく変わってきます。
<ライフプランシミュレーション例>
出典:「自分で描く未来予想図 ライフプランシミュレーション|全国銀行協会」にて作成
新トレンド「育住近接」
(株)リクルートホールディングスが2018年のトレンド予測として発表した、住まいに関するキーワードに「育住近接」が選ばれました。これは今までの「職住近接」=都心志向、駅近志向に対して、保育園や小学校が近いなど、子育て環境を重視する新たな潮流と言えます。
利便性のいい地域に人が集まることで、保育園不足が深刻化になり、地域とのつながりがない中での子育てがもたらす精神的負担など、「職住近接」にはデメリットもあります。こうした問題やニーズに対応するために、敷地内に保育園や学童保育を設けるマンションなどが登場しており、多少駅から離れていても人気となっています。また、こうしたマンションは住民同士のつながりが生まれやすいなど、子育て世帯の交流の場としても機能しています。
子育てをする前は、職場に通いやすい沿線で、1分でも駅に近い方がいいと考えて物件選びをするケースは多いと思います。しかし家を買ってからの子育て期間の長さを思うと、どちらの精神的、時間的負担の方が重く感じるか、という視点に変わります。特に女性は妊娠、出産で、仕事から離れる時期がやってくることを想定しておく必要があります。
「育住近接」のメリットは思った以上に大きいと後で感じるかもしれません。
家は女性のライフプランに寄り添う方がいい
ここからは私の体験談も混じりますが、子育てをしていると「祖父母が近くに住んでいる」ことのメリットがどれほど大きいか痛感します。よく一人で子育てをしている人を「ワンオペ育児」などと言いますが、体力的にきついのはもとより、精神的にも好ましくないことは明白です。友人や地域の人たちとのつながりが持てていれば、それほど問題はありませんが、そうでない場合は本当に深刻です。何かあった時に無条件で応じてくれる存在として祖父母の力は非常に大きいものです。
実家近くはこんなに便利
保育園、幼稚園、小学校、習い事と、子どもが小さいうちは“お迎え”はつきものです。仕事をしているとそれができないことも多々あります。そんな時に頼むことができる距離に祖父母が住んでいる(あるいは同居している)と大変助かります。結婚前は同居なんて絶対いやだと言っていた人が、子どもができたら同居に応じるケースはよくあります。同居は無理でも、近くに住むのなら問題ないという人もいるでしょう。
最も子育てしやすい環境は妻の実家の近くに家を建てることかもしれません。
こうしたことは独身時代には考えもしなかったのではないでしょうか。
女性の満足度が鍵
住宅選びは家にいる時間が長い女性の満足度が鍵です。家事、育児をこなす中で住居の問題は非常に大きいからです。
共働き夫婦の場合はどうでしょうか。
(株)マクロミルが2018年に実施したフルタイムの共働き家庭の家事分担状況の調査では、妻がメインは64%、妻と夫で分担は31%という結果に。また家事分担比率の理想を聞いた調査では、最多が「夫50%妻50%」であるのに対し、現実は「夫10%妻90%」が一番多いという結果となりました。「夫50%:妻50%」を実現している夫婦は1割程度となっています。
残念ながら、夫婦共働きであっても女性が家事を担うケースが多いのが現実のようです。
独身時代は、職場に通いやすいことを最優先で家を選んでも、家庭を持つと、仕事第一とはいかなくなるものです。その時に、助け合える環境づくりはとても大事です。コミュニティの中の起点として“家”を考えることが、今後はさらに重要となってくるように思います。