世の中には、申請すればもらえるお金、トクする制度がいろいろあります。住宅ローン控除、高額療養費制度、傷病手当金、失業給付金などは、知っている人も多く、利用したことがある人も多いことでしょう。今回は、そこまで認知度は高くないけれど、知っておいた方がよい助成金、補助金、減税制度をご紹介します。
申請しないなんてもったいない!
「知る人ぞ知る」助成金・補助金あれこれ
2018年11月19日
個人が受けることができる助成金・補助金
国や地方自治体が行う助成金や補助金の制度は、企業から個人まで多岐に渡っています。
その中で個人が受けることができ、国や多くの自治体で実施しているものを中心にご紹介したいと思います。中には、限られた自治体や限られた属性の人しか受けられない制度もありますが、今後、利用が広がる可能性もありますので、それらも含めて紹介します。
住宅に関する支援制度
「すまい給付金」
消費税率引上げによる住宅取得者の負担を緩和するために創設された制度です。消費税率8%時は収入額の目安が510万円以下の方を対象に最大30万円、10%時は収入額の目安が775万円以下の方を対象に最大50万円が給付されます。
<申請方法>
住宅の引き渡しから1年以内※に、給付申請書及び確認書類をすまい給付金事務局への郵送またはすまい給付金申請窓口へ持参します。
※当面の間、1年3ヶ月に延長
「特定優良賃貸住宅」
民間の土地所有者(オーナー)が地方自治体や国の補助金などを利用して良質な賃貸住宅を建設し、地方自治体と国が家賃補助を行いながら賃貸する公的賃貸住宅制度です。入居者は良質な住宅を軽い負担で借りることができます。
<利用するには>
入居者の収入に応じて「国」や「県」または「市」が家賃補助を行うもので、一定の収入基準を満たす必要があります。専有面積は原則として65㎡以上の物件で、礼金・更新料・仲介手数料の入居者負担がありません。
「住宅特定改修特別税額控除」
バリアフリーの改修、省エネのための改修、多世帯同居のための改修、耐久性向上のための改修を行った場合に、一定の金額をその年分の所得税額から控除します。いずれも標準的な費用の額が50万円を超えることが要件となっており、改修の種類によって上限額が設定され、その範囲内であれば工事費用の10%相当額が控除されます。
<申請方法>
必要書類を確定申告書と一緒に税務署に提出します。
「住宅耐震改修特別控除」
自宅の耐震改修をした場合に、一定の金額をその年分の所得税額から控除します。
この住宅耐震改修特別控除と住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)は併用して受けることができます。※いずれの適用要件も満たしている場合
控除額は耐震改修にかかわる標準的な工事費用の10%(最高25万円)となっています。
<申請方法>
必要書類を確定申告書と一緒に税務署に提出します。
その他にも、空き巣などによる被害を防ぐための防犯対策の費用の一部を助成する「住まいの防犯対策助成事業」や、老朽化した空き家の解体工事費用を補助する「老朽空き家解体費用補助」などもあります。
必要に迫られて行う工事は何かしらの補助がある可能性があるので、自治体の窓口に問い合わせてみることをおすすめします。
子育て・教育に関する支援制度
「認可外保育施設利用者への補助金」
認可保育所、認定こども園などの認可施設に入所できず、待機中に認可外保育施設を利用した場合に、保育料の一部を助成する制度で、各自治体が独自に設けています。
茅ヶ崎市の場合、認可外保育施設の利用料と、認可保育所等に入園した場合の保育料の差額に応じて、月額5,000円~25,000円までの補助があります。
今後は、幼児教育無償化によって、この制度の廃止または変更の可能性があります。
「受験生チャレンジ貸付事業」(東京)
東京都内在住の中学3年生・高校3年生又はこれに準じる方※を対象に塾費用や受験料の貸付を無利子で行い、さらに高校・大学等に入学した場合、返済が免除されます。※高校中途退学者、高等学校卒業程度認定試験合格者、定時制高校4年生、浪人生等も含む。
<利用条件>
利用条件には一定所得以下の世帯という条件があります。貸付限度額は学習塾等受講料の場合20万円、受験料の場合では中学3年生は2万7,400円、高校3年生は8万円となっています。
「大阪市塾代助成事業」(大阪)
大阪市内在住の中学生の子供がいる一定所得以下の世帯に、学習塾や家庭教師、文化・スポーツ教室等の学校外教育にかかる費用は月額1万円を上限に助成する事業です。
塾代助成カードが発行され、この事業に参画している学校外教育事業所で利用できますが、登録数は大変多く、塾だけでなく、ピアノや水泳、サッカーなど、多岐に渡っています。
介護・医療に関する支援制度
「家族介護慰労金」
要介護認定を受けていても、過去1年間、介護保険サービスを利用しないで、在宅において高齢者を介護している家族に対して慰労金を支給します。
<支給要件>
要介護4または5の認定を受けている方を介護されている同居家族の方で、高齢者、介護者とも住民税非課税世帯である場合に、年額10万円が支給されます。
「特定不妊治療にかかわる医療費助成」
高額の治療費がかかる特定不妊治療について、医療保険が適用されない治療費の全部又は一部を助成する制度です。体外受精及び顕微授精が助成の対象となります。
妻の年齢によって、助成金が出る回数が変わるなど、早い時期から始めた方が有利となっています。43歳以上で開始した治療は全て助成の対象外となっています。
こんな制度も‥
最後に、これぞ「知る人ぞ知る」といった制度をご紹介します。
「特定支出控除」
サラリーマンのための経費の控除のことです。
以下のものは経費と認められる可能性があります。
1.単身赴任先と自宅間の帰宅旅費
2.業務上必要と認められるスーツ代など
3.業務上必要と認められる書籍代など
※他にも特定支出控除と認められるものがあります。
<特定支出控除の計算>
特定支出控除額が給与所得控除額の半分を超えた場合に、その超えた額が所得金額から控除されます。2と3については合計で65万円までとなります。
「雑損控除」
災害や盗難などで資産に損害を受けた場合に、一定の金額の所得控除を受けることができます。
災害での被害の場合は、「災害減免法による所得税の軽減免除」という制度もあり、どちらか選ぶ必要があります。
雑損控除の特徴としては、災害だけでなく、盗難や横領によって、損害を受けた場合にも適用できる点です。お気に入りの自転車が盗まれた等でも、要件に当てはまれば控除を受けることができるのです。
いかがでしたか?
意外と知らない制度もあったのではないでしょうか。こういった制度は申請をしないと受けることができないため、まずは知っていることが大事です。
これを読んで頭の片隅に入れておけば、お金の面で一歩リードできますよ。