毎日の生活の中で、気をつけていても急にやってくるのが怪我や病気の数々。とくに女性特有の病気にかかる人は、年々増加傾向となっているって知っていましたか?16年6月には、フリーアナウンサーの小林麻央さんが進行性乳がんであるいう、市川海老蔵さんの会見を目にして改めて意識した方も多いでしょう。
「なにかあったときの為に、保険に入っている」と安心している方もいると思いますが、実際の負担額は病気にならないとわからないもの。女性特有の病気を理解し、その治療費や健診費用など、あなたを守るお金の知識を身につけましょう。
小林麻央さんが患った乳がん。
今私たちが備えられるお金の知識
2016年6月13日
5人に1人が病気の種を持っているってホント?
女性の社会進出によるライフスタイルの変化や欧米型の食事の浸透などの要因も相まって、女性特有の病気にかかる人が年々増加しています。20代~40代の女性に多く見られる病気の代表例は子宮筋腫で、実に成人女性の5人に1人が筋腫を持っているそう。この他にも、子宮頸がん、乳がんなどの女性特有の病気の患者数は2016年現在、約113万人にものぼります。この数字は、虫歯の患者数と同程度(厚生労働省「人口動態統計」より)なのだとか。虫歯は、誰でもかかる歯の病気というイメージがあると思いますが、その患者数と同程度となると、女性特有の病気も女性なら誰でもかかる病気と認識しておいた方がよいかもしれません。
また、気になる乳がんに羅患する人は12人に1人ともいわれており、ここ10年でほぼ倍近くまで増えています。
誰でもかかる可能性があるからこそ、しっかり備えよう
こうやってみてくると、他人事とは思えないと思った人も多いはず。特に女性特有の病気は、まさに働き盛りで、プライベートも謳歌したい20代~40代の女性を中心に発症するところが特徴なのです。小林麻央さんや北斗晶さんなど、テレビで活躍を目にしていた女性芸能人たちの乳がんによる報道も記憶に新しいですよね。
知らぬ間に病気になっていて、治療をするたびに貯金が消えていき、希望する治療が続けられない、生活ができなくなってしまった……という事態にならないよう、「お金の教養」をしっかりとつけて、あらかじめ備えておきたいですね。
乳がんにかかる費用ってどのくらい?
では、女性特有の病気になった場合、一体いくらかかるのでしょうか。乳がんを例にとってみましょう。
仮にあなたが、年収370万円のOLであるとします。仕事を着実にこなし、キャリアを積み上げる中、会社の健康診断で右胸に4センチの乳がんが見つかり、全摘手術を行うことに…。
手術から退院まで、実に25日間入院したとします。手術・検査・投薬・入院費等の医療費の合計は、およそ160万円です。
「え!こんな費用だせない!!」とあわてないでください。なぜならこのうち、健康保険が適用されるため、実際は3割負担となります。さらに、「高額療養費制度」を利用することによって、実質の負担は9.3万円+全額自己負担分(食事代・差額ベッド代など)に押さえることができるため、今回の25日間の入院のケースでは、最終的な実質負担額は33万円ほどになります。
退院後の通院費や抗がん剤治療にも備える
30万円程度なら「貯金でなんとかなるかも!」と思う人も多いかもしれません。しかしこの金額には、退院後の抗がん剤治療のための通院費が含まれていません。
術後のケアグッズの費用、抗がん剤等の副作用で髪が抜け落ちてしまった場合のかつらの購入費用などの費用もプラスされます。また、乳房の全摘手術を行った場合の人工乳房再建の費用は数十万円にもおよぶとされています。
その他の詳しい治療法と治療費はこちらのサイトにも掲載されていますので、気になる人はみてみてくださいね。
日本乳癌学会 こちらをクリック
どのような治療を続けるかによって、費用は変わってきますが、どのような場合においても、ある程度まとまったお金が必要があれば、治療方法の選択肢も増やすことができます
何よりも早期発見がカギ。検診の費用は?
実際の治療費をみてきましたが、何よりも早期発見がカギ。そのためには、日々のセルフチェックと定期検診が大切です。次は、定期検診にかかる費用をみてみましょう。
<子宮頸がん検診>
子宮頸がん検診費用は、病院によって費用もそれぞれ違いますが、3,000円程度が相場。検診は保険の適用外になりますが、自治体による市区町村では、公的な健診が年に1度か、2年に1度実施されており、無料〜2,000円程度で受診が可能です。また、2009年度以降、がん検診の受診促進のために、自治体単位で子宮頸がんの検診が無料となるクーポンも発行されています。一般的に「20歳、25歳、30歳、35歳、40 歳」といった節目に住民票のある自治体から送付されてきますので、こうした公的な補助も賢く活用しましょう。
<乳がん検診>
乳がん検診費用は、マンモグラフィや超音波エコーの検査の実施の有無、個人検診、自治体検診によってそれぞれ金額が違ってきます。乳がん検診の場合40歳未満の女性は、自治体による市区町村の検診での費用負担をほとんどしてくれないため、全額自己負担となることが多いようです。
40歳以上の女性は自治体による市区町村の検診が2年に1度実施されているので、それを利用することで0円~3,000円前後と比較的安い値段で検診を受けることができます。
20,30代の全額自己負担の場合には、マンモグラフィ単独では5,000円前後・超音波エコー単独では3,500円前後・両方行った場合は10,000円前後になるでしょう。
いずれの場合も、まずはお住まいの自治体か、加入している健康組合に確認し、今年の定期検診が決まっていない人は、早めにスケジューリングをしておけば安心ですね。
いますぐ出来ることからやろう
そして、何よりも日頃から体の調子に気をつけることはとても大事。身体が出す不調の信号に気付き、早めに病気を知ることができれば、お金の面でも健康の面でも、被害を最小限に食い止めることが出来ます。そのため、年齢・性別に関わらず、自分にあった検診を受け、しっかりと備えておきましょう。