2019年10月から幼児教育無償化がスタートするなど、教育費が軽減されることは嬉しいニュースです。しかしその一方で、大学などにかかる費用は年々増えています。お給料が思ったほど上がっていかない中で、教育費の占める割合は大きく、学資保険を検討するご家庭は多いと思います。そこで、学資保険は入った方が得なのか否か、わかりやすく解説したいと思います。
学資保険って入った方がいい?
学資保険のメリット・デメリットを徹底解説!
2018年9月7日
学資保険とは
子供の教育資金を確保するための保険を学資保険と言います。
大学進学のための学費を確保したい場合は、高校卒業の18歳を満期に設定するなどして、毎月の保険料を掛金として、満期保険金を受け取るものです。
また、入学祝いとして、各節目において、入学祝い金をもらえるタイプのものもあります。
保険と付くように、万が一、契約者が死亡もしくは高度障害状態となった時には、契約内容はそのままに、以後の保険料の支払いが免除されます。さらに、子供がケガや病気をした時に給付金を受け取れる、医療保障が付くタイプの学資保険もあります。
学資保険のメリット
貯蓄と保障を兼ね備えた学資保険には様々なメリットがあります。
貯蓄性がある
お金を貯めることが目的の学資保険ですから、払い込んだ保険料の総額よりも受け取る保険金の額の方が大きくなることが一番の魅力でしょう。
どのくらい増えるのかを示すのが「返戻率」です。
返戻率は以下の式で表します。
返戻率(%)=「受け取った保険金の総額」÷「支払った保険料の総額」×100
たとえば、返戻率110%の学資保険であれば保険料を100万円支払って110万円の保険金が受け取れます。
この返戻率は、現在の低金利時代を反映して年々下がってきているのが現状です。110%は返戻率の高い商品となり、平均は105%程度となっています。なかには100%を下回る商品もあります。
お金を増やすという意味での学資保険のメリットは小さくなっていると言えるでしょう。
万が一の時に保険料免除がある
契約者の親が死亡したり、高度障害となった場合に、以後の保険料は払わずに、満額保険金は今まで通りに受け取れます。また、商品によっては、育英年金として毎年決まった額の保険金を受け取れるものもあります。こうした万が一の事態に備えることができるのが、学資保険がただの貯蓄と違って“保険”とつく理由です。
税制面で優遇がある
学資保険は生命保険として分類されるため、「生命保険料控除」を受けることができます。
学資保険は「一般生命保険料」の対象となり、最大で所得税で40,000円、住民税で28,000円の控除を受けることができます。
生命保険料控除についての詳しい説明はこちらをチェック!
「保険加入者必見!確定申告でチェックすべき保険料控除とは?」
さらに、支払い総額と受取り総額の差が一時所得の特別控除額50万円以内であれば、所得税はかかりません。
定期預金などの利子には否応なく20.315%の税金がかかることを思うと、この差は大きいと言えるでしょう。
計画的に教育費を貯められる
教育費という名目で、半ば強制的に積み立てられるので、貯金が苦手という人にとっては、学資保険の強制力は大きなメリットとなります。
途中解約をすると損するために、満期までは絶対手を付けないという気持ちが働き、長期間の積立によってまとまった額を手にすることができます。
「長続きしない」、「お金があるとついつい使ってしまう」というタイプの人にとって、学資保険はおすすめです。
学資保険のデメリット
次に、デメリットを見てみましょう。
途中解約をすると元本割れのリスクがある
返戻率の数字は満期まで保険料を払ってもらえる保険金の割合なので、途中解約をすると元本を下回ることがほとんどです。こうしたことが、満期まで続けるための強制力となりますが、保険料の設定などで無理をしてしまうと、解約せざるを得なくなることもあるので、契約時によく確認しておくことが重要です。
インフレリスクに対応できない
現在の低金利のまま満期を迎えることができれば問題ありませんが、学資保険の満期は18年という場合が多く、その間インフレになる可能性がないとは言えません。
学資保険の利率は加入時のもので固定されてしまうため、インフレになって金利が上昇した場合、損をしてしまいます。受け取れる満額保険金の額が確定していることは資金計画としては良い反面、こうした金利変動リスクに対応できないという怖さがあります。
換金性が低い
学資保険の強制力の裏返しになりますが、預貯金のように、自由に引き出すことができないことは、時にリスクとなることがあります。学資保険は大学進学のための資金を準備するケースが多いため、満期を17年、18年と設定していることがほとんどです。
しかし、子供がどのような進学コースを取るかはわかりません。仮にエスカレーター式の付属中学や付属高校などに進学した場合、そこでまとまったお金が必要となります。そうした時にやむを得ず、学資保険を解約するはめになるかもしれません。
学資保険についてのまとめ
学資保険で一番求められるのは返戻率の高さでしょう。しかし、昨今の超低金利状態では、返戻率は期待できません。そういう意味では、学資保険の魅力は乏しくなっていると言えるでしょう。
積極的に資産運用が出来る人は、学資保険に加入する理由はないと言ってもいいかもしれません。
さらに、教育資金の準備としての計画が立てづらい場合(※)にも、自由度の低い学資保険は向いていないと言えるでしょう。
※途中解約のリスクを負わないためにも、子供の進路変更などに柔軟に対応できるだけの資金準備が必要となります。
一方で、資産運用は苦手であり、預貯金では計画的に貯めることができない人にとっては、学資保険は加入時に毎月の保険料と満期を決めるだけで、強制的に積み立ててくれるのでおすすめです。
その際は、満期までは絶対に解約はしないという前提で、無理のない保険料の中で返戻率の高い商品を選ぶようにしましょう。
いかがでしたか?
学資保険は加入者の性質や背景によって、いい商品にも悪い商品にもなります。メリット・デメリットを理解した上で、自分たちに適しているかどうかを判断してみてくださいね。