働き始めたときや将来不安を感じたときなど、貯金を始めるタイミングは人それぞれです。形となって表れない努力もある中、貯金では自分の努力が貯金額というわかりやすい数字で表れますね。そんな努力の結晶を普通預金や定期預金などにして金融機関に預けている人は多いもの。預金が1,000万円を超えそうになったら金融機関破綻リスクへの備えが必要です。ペイオフ制度の概要と注意点についてご紹介します。
ペイオフ制度とは?
預金が1,000万円を超える前に知っておきたいこと
2018年8月30日
大事なお金をどう管理する?
タンス預金は怖いから
お金は、使おうと思えばあっという間になくなりますが、貯めるのは本当に大変ですよね。
大事に貯めたお金をどこかで管理しようと思うとき、真っ先に思い浮かべるのが銀行などの金融機関ではないでしょうか。
警備会社と契約している家やオートロックのマンションに住んでいたとしても、タンス預金の盗難リスクはゼロではありません。
低金利でなかなか利息がつかない時代ではあるものの、安心して預けられる場所として金融機関は信用されています。
金融機関破綻リスクは?
多くの人に信用されている金融機関ですが、破綻リスクが全くないのかというと、そうとは限りません。
バブル崩壊後に複数の金融機関が破綻し、大きなニュースとなった記憶のある人もいるはず。
金融機関の破綻リスクまで考えるとお金を預けるところをどう選んだらいいかと困ってしまいますね。
しかし、心配しすぎる必要はありません。預金保険制度という預金を保護するための制度があるためです。
ペイオフ制度とは?
法律で定められた安心制度
私たちの預金は、預金保険制度により一定額まで保護されます。
預金保険制度は預金保険法という法で定められており、政府や日本銀行、金融機関によって設立された預金保険機構で運営されているのです。
保険とつく名称ではあるものの預金者である私たちが保険料について意識する必要はなく、金融機関と預金保険機構の間のやりとりで預金を保護する仕組みとなっています。ここでいう金融機関には銀行、信用金庫、信用組合、労働組合などが含まれます。
金融機関破綻時に預金保険機構が預金者に保険金を支払う方式の名称がペイオフ方式であるため、ペイオフ制度とも呼ばれています。
1,000万円まで大丈夫
預金保険制度で預金が全額守られれば都合がいいのですが、残念ながら上限が決まっています。
私たちが通常利用している一般預金(普通預金や定期預金など)は、1金融機関ごとに1預金者あたりの元本1,000万円と、その利息までが保護の対象。決済用預金は全額が保護の対象です。同じ金融機関に2つ以上の口座を持っていても合算されてしまいます。なお、同じ金融機関で複数の口座を開設しやすい時代もあったものの、現在は理由や目的などを確認されて開設を断られるケースが増えています。
ペイオフ対策として何をすればいい?
複数の金融機関を使い分ける
では、預金が1,000万円を超えそうになったらどうすればいいのでしょうか。
複数の金融機関に預金を分けて預けるか投資にまわすなどの方法をとるケースが一般的です。
2,000万円なら2つの銀行、3,000万円なら3つの銀行というイメージになりますね。
メガバンクにする、地方でシェア上位の銀行にする、近所に支店やATMがあり使い勝手のいい銀行にするなど、金融機関の選び方は人それぞれです。ネット銀行の預金もペイオフ制度で保護されます。
お金を貯めるためだけの口座ではなく、お金の出し入れを頻繁にする口座の場合はATM手数料の違いも気になるのではないでしょうか。
利息のつかない決済用預金を利用する場合も
先ほど、決済用預金は全額保護の対象になるとお話ししました。
この決済用預金ですが、普通預金しか使っていない人には、あまりなじみのない名称ですね。
決済用預金口座には、利息がつかない、払戻しはいつでもできる、口座振替や送金といった決済サービスを提供できるという特徴があります。
一般の個人でも口座を開設でき、利息はつかないものの普通預金と同じように使えるためペイオフ対策として利用する人もいます。
知っておきたい注意ポイント
外貨預金は対象外
ペイオフ対策を考えて金融機関を利用する際の注意点ですが、預金保険機構に加入している金融機関であれば何でも安心というわけではなく保護対象外となる場合もあります。まず、海外支店は対象外です。
下記の場合も保護はされません。
・外貨預金
・他人名義の預金
・元本補てん契約のない金銭信託
資産運用の手段として外貨預金を利用している人は、注意が必要ですね。
また、同じ金融機関で家族が別々に口座を持っている場合は、それぞれ1,000万円まで保護されますが、名義を借りただけと判断されるケースでは保護されない可能性があります。
副業用の口座や投資信託などはどうなる?
副業をしていて、同じ金融機関で事業用の口座と個人用の口座を別々に持っている人もいるのではないでしょうか。
この場合も、合算の対象となります。副業がうまくいって預金が増えるなどしてきたら対策しておきましょう。
また、投資信託や国債の扱いが気になる人もいるはず。下記のとおり金融機関破綻の影響は受けません。安心してください。
・投資信託:販売した金融機関でなく信託銀行が保管しているため影響なし
・国債:取扱金融機関が破綻したとしても権利が保護される仕組みのため影響なし
ペイオフ制度により、私たちの預金は守られています。しかし、保護される預金には対象になるものとならないもの、そして上限があるため、ペイオフ制度の安心感を十分に生かした預け方を工夫しましょう。
貯金の目標額を1,000万円にしている人は「私もペイオフを気にできる身分になったんだ」と思える日を目指してみてはいかがでしょうか。