やりたい仕事や便利な生活が手に入りやすい都会暮らし。
そんな毎日の暮らしに満足しながらも、都会ならではのスピード感による疲れや老後不安から、将来は移住して静かな田舎暮らしをしたいと思っていませんか。
田舎であれば生活費がそんなにかからないだろうと安易に考える人も多くいます。
しかし、どこで暮らすにしても、いいとこ取りだけをするわけにはいきませんね。
知っておきたい田舎暮らしのポイントについてご紹介します。
老後は移住して田舎暮らし?
憧れだけで失敗しないために知っておきたいこと
2018年8月2日
田舎暮らしをすれば家計支出を減らせる?
住居費は抑えられるけれど
田舎暮らしをすれば、都会暮らしよりもお金がかからないだろうと考える人は多くいます。そのイメージの大きな原因となっているのが、住居費。
都市部の家賃に比べ、田舎の家賃が驚くほどの安さに感じられるケースさえありますよね。
とはいえ、田舎でも駅近なのか、本数の多いバス停の近くか、本数の少ないバス停の近くかなどの条件により家賃もさまざま。さらに交通の便の悪い場所では車の所有が必要になり、毎年維持費がかかります。
車が必要な生活を選ぶ場合、高齢になって免許返納した後の交通手段についても考えておきたいもの。年をとっても買い物や病院への通院などの外出は必要です。
生活用品が高めな場合も
産直野菜やスーパーの野菜などが安く、食材費を抑えやすいといわれる田舎暮らし。一方で一般的な生活用品はそれほど安くはなく、ディスカウント店がないなどの理由で都市部より高くつく場合もあります。
また、都市ガスに比べてプロパンガスは料金が高めであり、ガス代が高くなる点にも注意が必要。冬の寒さが厳しい場所に住むと暖房費も高くつきます。空き家バンクなどを利用して安価な古家に住む場合は、断熱効果の低さによる冷暖房費アップも考慮しましょう。
お金以外の問題も知っておきたい
生きていく上で大切な人とのかかわり
都市部と田舎の暮らしの違いは、お金の問題だけにとどまりません。人とのかかわりは、生きていく上での重要なポイントの一つ。知り合いのいない田舎へ移住する場合は、新しい友人づくりが必要になります。
一人での時間を楽しめる、あるいは田舎の人との交流を嫌がらない人には向いていますが、どちらも苦手な場合は新しい生活が精神的負担となるかもしれません。濃密な人づき合いが必要となる地域もあります。移住によって離れてしまった古くからの友人と会うための交通費もばかになりませんね。
画像で見る世界だけではない自然の姿
都市部に住んでいると、木々の緑、青い空、夜空にきらめく星など、写真や画像で目にする田舎の自然に心惹かれる瞬間があるものです。しかし、自然の中で居心地良く暮らす存在は人間だけではありません。
田舎暮らしにつきものの話として外せない虫の問題も、田舎暮らしに適応できるかどうかの大事なポイントの一つ。ムカデなど、都市部では遭遇しなかったような虫とつき合う生活です。
失敗しないためのシミュレーション
地域により雰囲気はそれぞれ
田舎とひとくくりにされがちですが、地域によって人の雰囲気は変わります。のんびりとした話し方をする地域もあれば、はっきりとした口調が特徴的な地域もあります。そのため、田舎暮らしが気になる人は余暇を利用して興味のある土地へ出かけ、実際に歩いてみるとよいでしょう。
地元の人が通うスーパーや駅周辺の様子を見ながら、地域の人の雰囲気にも触れましょう。田舎暮らし体験住宅を提供している自治体もあります。「移住・交流推進機構」のサイトなどでの情報集めもおすすめです。
ショッピングモールだけに頼るリスク
地方では、大型ショッピングモールの進出をきっかけに駅近よりも郊外のほうがにぎわうケースも見られるようになりました。大型ショッピングモールを理由にして周辺への居住を決める人もいるくらいです。
しかし、大型ショッピングモールの突然の閉鎖により生活の便利さが奪われる可能性はゼロではありません。実際に、そのような事例も発生しています。一つの大型施設に過剰に頼る生活設計には慎重になりましょう。
メリット・デメリットを含めての相性次第
田舎に興味を持ち、田舎暮らしのメリット、デメリット、自分との相性を知ると、都会暮らしのメリット、デメリットも再認識できるはず。両者を比べることで、自分の希望する生き方や合いそうな場所を判断しやすくなるのではないでしょうか。
また、老後の暮らし方においては、場所にこだわらないという視点もあり得ます。自分に合いそうな高齢者用シェアハウス、グループリビングという単位で暮らし方を選んでもよいわけです。その場合は土地柄よりも施設毎の雰囲気が重要となるため、複数の施設見学がおすすめです。
憧れだけで移住に失敗しないためには、メリットだけでなくデメリットも十分に理解した上での選択が必要。なんとなく田舎/都会がいい、ではなく、それでもやっぱり田舎/都会が好きという選び方がおすすめです。
若いうちから調べたり行動したりすると、じっくり考える余裕ができます。自分がどんな暮らし方をしていきたいのか具体的にイメージしながら、前向きに検討してみてくださいね。