みなさんの給料からは、税金や社会保険料が天引きされていますね。40歳になると、介護保険料の負担も増えることをご存じでしょうか。
収入と手取りの金額に差があればあるほど、ため息をつきたくなるものです。しかし、なんのために天引きされるのかといった背景を知れば少しは納得がいくかも。
高齢化の流れで、介護保険料の負担は今後さらに増していきます。
公的介護保険制度の仕組みや具体的な介護保険料の目安についてご紹介します。
40歳になると介護保険料が徴収されます!
気になる仕組みと金額
2018年6月29日
介護保険制度って何?
介護は誰にとっても身近な問題?
街で見かける高齢者の割合が多くなった、介護サービスの車をよく見かけるようになった、高齢者向けのサービスが目につくようになった、など日本の高齢化を肌で感じている人は多いのではないでしょうか。
自分はまだまだ若いと思っていても、日本人の平均寿命は男性80歳、女性87歳です。自分や親に介護が必要になるという、もしもの状況は容易に想像できますね。将来、誰かの世話にならなければいけなくなったとき、必要になるのはお金です。
いざというときに公的な支えがあると、個人的なお金の負担は軽くて済みます。介護は誰にとっても身近な問題であり、公的な支えを必要とする社会的な問題でもあるのです。
公的な保険制度のうちの一つ
日本では、国民を守るための社会保障制度が複数整備されています。それらの中で、保険的方法による保障制度(社会全体で支えあうことを目的とした制度)の一つとして存在するのが、介護保険制度です。
介護保険以外の社会保険(公的な保険)としては、健康保険や公的年金、雇用保険などが挙げられます。介護保険制度は2000年に施行されました。1960年代には5.7%だった高齢化率が、2000年に17.3%にまで上昇したという時代背景のあるときです。
出典:厚生労働省
高齢化が進み、社会全体で高齢者介護を支え合う仕組みを作りましょうという流れでできた介護保険制度は、公費と介護保険料で財政を賄う仕組みとなっています。
40歳になったら被保険者になる
介護保険料は、40歳になると徴収されるようになります。対象者は、年齢により2通りに分かれています。
【介護保険対象者の分け方】
・40歳~65歳未満の医療保険加入者(第2号被保険者)
・65歳以上の者(第1号被保険者)
65歳未満は、健康保険や国民健康保険などの公的な医療保険の保険料が徴収されますよね。介護保険料は、その保険料と一緒に徴収されます。
65歳以上になると年金からの天引き、あるいは納入通知書による市町村徴収に切り替わります。
介護保険料としていくら払うことになる?
加入している医療保険ごとに算出
介護保険が自分の将来や社会のために必要な制度と頭でわかっていても、保険料の負担の大きさが気になってしまうのも事実。具体的にどのくらい払うのか、知っておきたいところですね。
会社勤めで健康保険に加入している65歳未満の人の場合、加入している医療保険ごとに介護保険料が決められます。給与や賞与の金額と、医療保険ごとに定められた介護保険料率で算出されるスタイルです。保険料は、事業主との半分ずつで負担します。
例えば介護保険料率が1.5%の医療保険に加入している場合、保険料は下記のとおり。事業主と半分ずつの負担であるため、1.5%の半分である0.75%で算出できます。
【標準報酬月額例:介護保険料の被保険者負担分(0.75%)】
・15万円:1,125円
・30万円:2,250円
国民健康保険加入者の場合は市町村ごとに算出
自営業者など国民健康保険に加入している人の介護保険料は、所得割や資産割、被保険者均等割、世帯別平等割の中から市町村ごとに定められた組み合わせで決められます。
先ほどご紹介した健康保険加入者を含めた第2号被保険者全体の1人あたりの負担額を一つの目安としてご紹介すると、2000年度に平均月額保険料が2,075円であったのに対し、2015年度には5,081円となりました。介護保険料は、介護保険制度が制度化されて以降、ずっと増加傾向にあるのです。
出典:厚生労働省
65歳以上の人の場合も市町村ごとに算出
65歳以上の第1号被保険者の場合、介護保険料は市町村ごとに異なります。65歳未満の第2号被保険者同様、介護保険制度が施行されて以降、保険料の全国平均額が上がり続けています。
2000年度に全国平均の月額保険料が2,911円であったのに対し、2017年度には5,514円となりました。2025年度には8,165円になるという推計データもあります。
ただし、介護保険制度は所得に応じた負担を求められる仕組みとなっているため、同じ市町村にいても市町村民税が非課税である世帯と市町村民税が課税される世帯では保険料が異なります。低所得者の保険料が軽減されということですね。
介護保険料負担はいつまで続く?
生きている限り払い続けます
65歳以上になっても年金から天引きされてしまう介護保険料。一体いつまで払えばいいのだろうと疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
介護保険料の負担は、生きている限り続きます。同じ年齢であっても、介護保険料の負担だけをする人もいれば、介護保険サービスを受けながら介護保険料を支払う人もいるということ。
なお、40歳~65歳未満の健康保険加入の第2号被保険者に扶養されている配偶者は、65歳未満まで保険料の負担がありません。65歳以上になると第1号被保険者として年金から介護保険料が天引きされるようになります。
毎日の生活費をやりくりしていると、収入から税金や社会保険料が引かれた後の手取り金額を見てがっかりしてしまうことがありますよね。しかし、それぞれ意味があって引かれるのだなと理解できると、少しは納得できるというもの。
みんなで支え合うための介護保険料は、40歳以降ずっと払い続けることになります。安心して暮らせる社会の実現のために役立っているという気持ちを持ちながら、今後の生活設計をしていきましょう。