今年も春がやってきました。
この季節になると、東日本大震災や熊本地震のことが思い出されますね。
災害が起こった時に、自分にできることの一つとして「寄付」があります。
今回は善意をムダにしない寄付の仕方について考えていきましょう。
寄付をすれば自分もおトク?
正しい寄付の仕方
2018年3月27日
募金と寄付
地震や自然災害が発生して犠牲者がたくさん出たり、家屋が倒壊したりした場合、多くの場所で募金や寄付の活動が行われます。募金と寄付は何が違うのでしょうか?
募金
募金とは、寄付金を幅広く募ることを言います。
募金の中でも、さらに支援金と義援金がありそれぞれ利用方法が違います。
支援金は、各機関やNPO、ボランティア団体の判断によって、人命救助やインフラ整備などの復旧活動に速やかに役立てられます。
基本的に、支援金の使い道は各団体に任せられているので、各団体ごとに支援金の使途や収支の報告を行っていますが、しっかりした団体に募金をするようにしたいですね。
一方、義援金は義援金分配委員会によって、寄付金の100%が公平に被災者に配布されます。ただ、被災者の正確な情報を把握した後の分配になるので、被災者に届くまで時間がかかります。
どちらの方法で役に立ちたいかを考えて募金するといいでしょう。
寄付
一方、寄付は金銭や財産などを公共事業や福祉施設などへ無償で提供することを言います。つまり、現金だけではなく物も含まれるという認識ですね。
税金が安くなる?
募金や寄付をした場合に、税金の一部が戻ってくる制度があります。 善意で募金や寄付をして、さらに税金が安くなるのであれば一石二鳥ですね。
「寄付金控除」って?
会社員の場合、給与収入からまず給与所得控除をひいた所得から、さらに配偶者控除や生命保険料控除などをひいた課税所得に対して、税金が計算されます。つまり、所得控除を受けるには、税金をかけるモトが少なければ少ないほど所得税が少なくてすみます。
寄付金控除も同じように、この税金をかけるモトから差し引くことが原則です。
ただし、2011年より、認定NPO法人や公益社団法人への寄付は今まで通り「所得控除」の適用を受けるか、または最終的に計算した金額から寄付金控除分を差し引く「税額控除」の適用を受けるか、有利な方を選択できるようになりました。
寄付金控除を受けるには
店頭の募金箱にそっとお釣りを入れる・・・そんな小さな善意もとても素敵ですね。 でも、残念ながら全ての募金や寄付が控除の対象となるわけではありません。
どこに寄付をすればいい?
寄付金控除を受けることができる主な寄付金受付先は、決まっています。 具体的には主に下記のところです。
1.日本赤十字社
2.赤い羽根共同募金
3.日本ユニセフ協会
4.公益社団法人
5.公益財団法人
6.認定NPO法人
7.私立学校法人
この他にも、国税庁のHPで確認することができるので、寄付金控除を受けるのであれば、どこの団体がお金を集めているかを確認するといいですね。
確定申告が必要
確定申告をする場合は、寄付をしたことを証明する書類が必要です。
証明として利用できる書類としては、寄付金受納証明書、募金の受付専用口座に振り込んだ場合の振込証の控え、募金団体の預かり証などがあります。 確定申告をするまで、きちんと保管しておくようにしましょう。
どれくらい節税になるの?
では、実際にどれくらい寄付をしたら、どの程度節税になるのでしょうか?
年収300万円で認定NPO法人に1万円の寄付をした場合、「所得控除」を選んだ場合と「税額控除」を選んだ場合でそれぞれ計算していきます。
所得控除を選んだ場合
「年間の寄付金額-2,000円=寄付金控除額」の計算式に当てはめると、1万円-2,000円=8,000円が所得控除として差し引くことができます。
年収300万円の課税所得はほとんどの場合、195万円以下となるため所得税率は5%となり、8,000円×5%=400円の税金が安くなります。
税額控除を選んだ場合
「(寄付金額-2,000円)×40%」の計算式に当てはめると(1万円-2,000円)×40%=3,200円となり、最終的に計算された税金からこの金額をまるまる差し引くことができます。
この場合、税額控除を選んだ方が節税効果があることがわかります。
善意の寄付が自分の節税にも繋がるのであれば、寄付をしようと考える人が増えるきっかけにもなりますね。
自然災害はいつ、どこで発生するかわかりません。もしかしたら自分が被災者になるかもしれません。
お互い様の気持ちの輪が広がっていくといいですね。