毎月の給料から引かれている厚生年金保険料と健康保険料。
この金額はどのようにして計算されているか知っていますか?
忙しい年度末や年度初めはつい残業が多くなっちゃいますが、逆に手取り収入が減ったとしたら・・・。
3月~5月の働き方に気をつけるだけで、 1年間の保険料が変わるかも!?
4、5、6月は残業しすぎると
「損」って本当?!
2018年3月12日
社会保険料はどうやって決まるの?
毎月の給与から天引きされている社会保険料。
何の疑問もなく当たり前の様に支払っているけれど、社会保険料の金額がどのようにして決まっているのか知らない人も多いのではないでしょうか。
社会保険料、何が基準となるの?
社会保険料の中で健康保険料と厚生年金保険料は、毎年見直されています。その見直しの基準となるものが標準報酬月額です。
標準報酬月額は、いくつかの等級に分かれています。その等級によって、その年の9月から翌年の8月までの1年間の保険料が決められています。
ちなみに、厚生年金の標準報酬月額は31等級、健康保険の標準報酬月額は50等級に分かれています。
厚生年金保険料と健康保険料は、この標準報酬月額に保険料率をかけて計算されています。
標準報酬月額とは
では、標準報酬月額はどのようにして計算されるのでしょうか。
まず、毎年4~6月の3カ月間の給与を平均したものを報酬月額といいます。
その報酬月額を、区切りのよい幅で区分したものが標準報酬月額です。
みなさんの標準報酬月額は、事業主から提出された届書に基づいて日本年金機構が決定しています。
報酬には何が含まれるの?
「報酬」とは、労働の対価として受け取るもの全てをさします。
報酬は、毎月の基本給だけではなく、通勤手当や残業手当、休日手当などの各種手当が含まれます。
ただし、退職金やお祝い金、出張手当や出張旅費などの臨時に受け取るというようなものや年3回以下の賞与は含まれません。
「4、5、6月の残業が多いと損」は間違い
今まで見てきたように、1年間支払う健康保険料と厚生年金保険料は、4~6月の3カ月間の給与の平均で決まるということがわかりました。
みなさんの会社のほとんどは、前月締めの給与を今月支払っていることが多いかと思います。
つまり、3月の残業代が支払われるのは4月ということになりますね。
「3、4、5月」の働き方に注意して!
「残業代が増えることによって、保険料の支払いが増えて損」という意味でとるのであれば、「4、5、6月」の給与が増えると損ということになります。
つまり、給与計算が前月締切の会社であれば、「3、4、5月」の残業が多いと「4、5、6月」の給与が増えるということになりますね。
そのように考えると「4、5、6月に残業が多いと損だよ」というアドバイスは、厳密にいえば正しくない表現と言えます!
標準報酬月額を意識して働くつもりなら、「3、4、5月」の働き方に気をつける必要がありますよ。
社会保険料が多いとホントに損?
毎月頑張って働いたお給料。やはり少しでも手取りが多いと嬉しいですね。
残業までして頑張って働いたのに、そのため標準報酬月額が上がり、社会保険料が増えると逆に手取りが減ってしまい、損をした気分になるかもしれません。
でも、社会保険料が多く引かれると本当に損なのでしょうか。
将来の年金が増える!
厚生年金保険料を多く納めることで、将来受け取る年金の額が増えます。
頑張って働いた分は、将来しっかり受け取ることができるのですね。
出産した時もおトク
健康保険料を納めることで受け取ることができる傷病手当金や出産手当金。
働く女子にはありがたい制度です。
この傷病手当金や出産手当金も4~5月の給与で計算される標準報酬日額が基準となります。
もし、ケガや病気をして長い間仕事を休む場合や出産してしばらく会社を休む場合は、受け取ることができる手当が増えるのです。
つい、今必要なお金にフォーカスして手取り額を重視しがちですが、長い目でみれば、厚生年金保険も健康保険も将来自分の役に立つ制度です。
ソン・トクを考えて時間を調整するより、自分の仕事に責任をもって取り組めばOKという気持ちで、年度末・年度初めを乗り切りましょう!