学生時代に、国民年金保険料の「学生納付特例」 を利用した人も多いかと思います。
その後、社会人になって厚生年金保険料をおさめつつ、ふと「 あのお金はどうしたらいいのかな?」 と思ったことはありませんか?
追納した方がいいのかどうか、一緒に考えていきましょう!
学生時代の免除された国民年金保険料は
追納すべき? 将来への影響とは
2018年3月4日
国民年金の保険料、免除と猶予
現在日本に住所を有する20歳~60歳の人は、国民年金保険に加入しなければなりません。
国民年金保険料は決まっていて、平成29年度は1カ月16,490円となっています。
納付が困難な場合は?
国民年金保険料は収入に関わらず一定額を納付する必要があります。
でも、経済的な理由などで保険料を納付することが困難な人は、申請することで保険料の全額や一部が免除されたり、保険料の納付が猶予されることがあります。
申請をぜずに滞納した場合は、原則として2年以内(特例として、平成27年9月~平成30年9月までは5年以内)の分しか後から払うことができません。
納付が困難な場合は、放置せずに申請するようにしましょう。
学生納付特例制度って?
学生でも20歳になったら国民年金保険料を納める義務があります。
とは言っても、学生の場合収入はアルバイト程度。そこから毎月一定の額を納付するというのは苦しいでしょう。
そのため本人の所得が一定以下の学生には、申請することによって、保険料の納付が猶予される制度があります。
これを「学生納付特例制度」と言います。
追納した方がトク?
学生納付特例で猶予された国民年金の追納期間は10年間です。
22歳まで学生納付特例猶予を利用したとすると、追納の期限は32歳。そろそろ期限になる女子にとっては、追納した方がいいか迷うところでしょう。
追納、いくらすることになるの?
先ほど、20歳になったら国民年金保険料を納める義務がある、とお伝えしました。誕生月にもよりますが、4月に20歳になった人の場合、大学2年の4月から大学4年の3月までの36カ月分を追納することになりますね。
追納するのに必要な金額は、日本年金機構のHPで調べることができます。
例えば、平成25年4月に20歳になった人であれば、平成25年度、26年度、27年度の全額免除は、それぞれ15,120円、15,270円、15,590円となっています。この人の場合、追納に必要な金額は551,760円となります。
かなりまとまった金額になってしまいますね。
追納しなかったらどれだけ差が出る?
平成29年度の場合、老齢基礎年金は満額で1年間779,300円です。
国民年金保険料を40年(480カ月)納めることで、満額を受け取ることができるのです。
先ほどの例の人の場合、36カ月の納付特例を受けていて追納しなかったとすると、受け取れる年金額は779,300円×444月÷480月=720,900円(50円以上切り上げ)となります。
1年間58,400円の差が出ることになりますね。
老齢基礎年金を65歳から受け取って、女性の平均寿命である87歳(厚生労働省発表・2016年平均寿命)まで22年間受給するとしたら、なんとトータルで1,284,800円の差が出ることに!
損得分岐の年齢は?
では、実際に追納してモトがとれるのは何歳でしょうか。
この人の場合、551,760円÷58,400円の計算をすると、約9年でモトが取れることになるので、損得の分岐点の年齢は74歳ということになります。
つまり、74歳以降は長生きすればするだけおトクということになりますね。
税金もおトクに♪
国民年金保険料を追納することで、もう一つおトクになることがあります。
追納した国民年金保険料は、全額が社会保険料控除の対象になります。
つまり、所得税と住民税が安くなるので節税の効果があります。
会社に勤務している場合は年末調整で社会保険料控除の手続きをします。その時に、会社に国民年金保険料の支払調書を提出する必要があるので、追納した時に保管しておきましょう。
自分で確定申告する場合にも必要ですよ。
追納できる期間は10年。払いそびれて後から後悔しても間に合いません。
学生納付特例を利用していた女子は、30歳までに一度しっかり考えてみてくださいね。