「配偶者控除」って知っていますか?
何度も聞いて知っているはずですが、詳しく説明できるかとなるとちょっと、、、それに加え、制度改正がたびたびあるため今現在どうなっているのかが把握しづらい制度でもあります。
そこで今回は「平成30年版」と題し、今現在の配偶者控除について分かりやすくお伝えします。
それを知った上で、今年の働き方、暮らし方の計画を立て、あなたらしい一年を過ごしていけると良いですね。
103万?150万?
今一度、再チェック!
~平成30年版~配偶者控除について
2018年3月1日
配偶者控除って何?
「配偶者控除」とは、所得税を算出する際に控除できる所得控除の一つです。所得控除は14種類あります。そして、
- 1. 民法の規定による配偶者であること
- 2. 納税者と生計を一にしていること
- 3. 年間の合計所得金額が38万円以下であること
- 4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと
(国税庁HPより抜粋)
この4つの条件を全て満たす配偶者がいる場合に「配偶者控除」を受けることができます。
誕生した背景
「配偶者控除」が誕生したのは昭和36(1961)年です。当時、商店主などの自営業者は、妻(配偶者)が事業に専従する給与相当額を夫の所得から控除できていました。
しかしサラリーマンなどの給与所得者にはその控除がなく不公平感があったため、養控除の対象から配偶者を独立させ「配偶者控除」は誕生しました。
その当時の日本で一番多かった「夫はサラリーマン・妻は専業主婦」という家族構成に配慮し妻の「内助の功」を税制面で認めたものでした。
制度改正の歴史
昭和36年に誕生した「配偶者控除」。昭和42年の改正では、所得控除の中の「基礎控除」と控除額が同額に設定されました。
昭和62年の改正では、「配偶者控除」の他に「配偶者特別控除」が誕生しました。それ以前は、給与所得者であるサラリーマンの妻(配偶者)が所得金額38万円を超えたとたんに配偶者控除は一切受けられなくなる仕組みでした。
しかし、この「配偶者特別控除」が誕生し、妻の所得金額が38万円を超えても控除額がゼロにはならず、控除額がなだらかに減っていく仕組みに変わったのです。
俗にいう「103万円の壁」が税制上なくなったのは、この改正の時からです。
平成30年 配偶者控除について
平成30年改正のポイント
改正のポイントは2つです。
1つめは、配偶者特別控除の拡大です。
今までは、妻(配偶者)の年収が103万円以下なら、夫(納税者)は「配偶者控除」の対象となり38万円の所得控除を受けることが可能でした。
また妻の年収が103万円を超え141万円以上では「配偶者特別控除」の対象となり、控除額は38万円からなだらかに減少していました。
平成30年からは、妻の年収が103万円以下なら今まで通り、夫は「配偶者控除」の対象となり38万円の所得控除を受けることが可能。
103万円を超え150万円以下は、「配偶者特別控除」の対象となり38万円の所得控除を受けることが可能。150万円を超え201万円以上でも「配偶者特別控除」の対象となり、控除額は38万円からなだらかに減少していくといった、3段階方式に改正されました。
2つめは、夫(納税者)の年収が控除額に影響していく事です。
夫の年収が1120万円以下の場合は、控除額38~3万円。
年収1170万円以下の場合は、控除額26~2万円。年収1220万円以下の場合は、控除額13~1万円。年収1220万円を超えると配偶者控除も配偶者特別控除も一切受けられなくなります。
つまり夫の年収が1220万円を超えると、妻に所得があろうがなかろうが、配偶者控除の対象から外れるという事です。
これからどうなる?
平成30年改正から、妻の年収が150万円以下なら、夫の所得控除額に影響はなくなりました。
とはいえ、この「妻の年収150万円」は、税制上の目安でしかありません。
社会保険上の最初の目安に「妻の年収106万円」があります。それは年収106万円以上で、なおかつ
- 1. 週20時間以上働いている
- 2. 賃金が月額で8万8千円以上ある
- 3. 1年以上勤務する見通しである
- 4. 501人以上の従業員がいる企業で働いている
この4つの条件を満たしていると、夫の扶養ではなく、妻本人が社会保険料を払う事になるのです。
税制上では妻の年収が拡大してもデメリットはなくなりつつありますが、パートで働く妻たちにとっては、この社会保険上の「106万円の壁」の悩みはこれからも続いていくようです。
配偶者控除 よくある質問
Q1 内縁の妻や事実婚は、配偶者控除の対象になるの?
対象とはなりません。配偶者控除の対象となる配偶者とは、民法の規定により効力が生じた婚姻に基づく配偶者であるからです。
Q2 出産育児一時金や出産手当金は所得に含まれるの?
含まれません。健康保険法の規定により、課税されない事となっているので、合計所得金額に含む必要はありません。
Q3 求職者給付金は所得に含まれるの?
含まれません。雇用保険法の規定により、課税されない事となっているので、合計所得金額に含む必要はありません。
平成30年版 配偶者控除について いかがでしたか?
今年の働き方、暮らし方の計画を立てる際に役立てて、あなたらしい一年を過ごしてくださいね。