歌舞伎役者である市川海老蔵さんの妻小林麻央さんが、乳がんのため亡くなりました。このニュースに衝撃を受け、ショックを受けた女性は多いことでしょう。しかし、乳がんは、セルフチェックにより発見することができ、かつ早期に手術を行えば、治る可能性が大いにあります。大腸がんや肺がんなどその他のがんと合わせて、検診や治療にかかるお金について見ていきましょう。
後悔しないために!
女性のがんに関わるお金のアレコレ
2017年8月8日
どの部位のがん患者が多いの?
2016年に国立がん研究センターが公開した情報によると、女性のがん患者のうち、最も患者数が多いのは「乳がん」となっています。
しかし、女性において、がんにより亡くなってしまった方のうち、最も多い死因は乳がんではなく、1位大腸がん、2位肺がん、3位胃がん、4位膵臓がん、そして5位が乳がんとなっています。
つまり、乳がんは、女性がかかりやすい病気だけれども、早期発見や治療を行うことができれば、直接的な死因とならずに、生きることが可能だということが分かりますね。
がんに関する統計について詳しく知りたい方は、国立がん研究センターのこちらのページを確認してみましょう。
女性が注意するべき、がんにかかるお金
それでは、がんを発見するための検査費や、実際にがんになってしまった場合、どのくらいのお金がかかるのかを見ていきましょう。
乳がん
乳がん検診は、マンモグラフィと超音波エコーを行うのが一般的です。40歳以上の女性は、自治体による検診が行われており、それを利用することで、無料〜3,000円前後で検診を受けることができます。
また、乳がんの治療費は、例えば、がん病変を含む乳房の一部を切除した後、再発予防のため残った乳房に放射線を照射する治療を行った場合、総額で大体150万円。保険適用後の3割負担となると、45万円程度となります。
子宮頸がん
子宮頸がんの検診費は、おおよそ3,000円。こちらも乳がん検診と同様に、自治体による健診が実施されており、無料〜2,000円程度で受診ができますよ。
治療費については、がんを患った子宮の一部のみを切除する子宮頸部円錐切除術の場合は、総額25万円から30万円程度(3割負担で7.5万円から9万円程度)。子宮を全摘出する場合は、120万円程度(3割負担で36万円程度)となっています。
大腸がん
女性の死亡原因として最も多い大腸がんは、人間ドックなどの定期検査で見つかるケースが多いですね。お腹の調子がおかしいと思ったら、20代30代の若い世代の方も、ぜひ人間ドックを受診するようにしましょう。
人間ドックは、大腸がん以外にもさまざまな部位を詳しく検査することが可能です。会社から補助がでることもありますが、自費で検査をすると、大体3万円から5万円がかかります。
大腸がんの治療は、内視鏡手術や腹腔鏡手術を行うのが一般的。治療費は、がんの進行具合により大きく異なりますが、総額60万円から150万円程度(3割負担で18万円から45万円程度)となっています。
肺がん
女性の死亡数が多いがんの2位が肺がんです。肺がんは、喫煙および受動喫煙が大きな原因となっています。現在喫煙中の方は、自分の体を守るためにも、ぜひ禁煙にチャレンジしてみましょう。
肺がんの検査は、胸部X線検査、CT検査、血液検査などを行います。大腸がんと同様に人間ドックで発見されるか、せきが止まらない、胸が苦しいなどの症状で、自分で病院に行くケースが多いですね。
肺がんの治療費は、症状により大きく異なりますが、総額100万円から300万円程度(3割負担で30万円から90万円程度)と、手術費用が高額になるという特徴があります。
がんになってしまったら?知っておくべき制度
高額ながんの治療費を支払うために、利用することができるさまざまな制度がありますよ。
医療費控除制度
がん治療にかかった費用を確定申告することで、税金を安くすることができるのが、医療費控除制度です。もちろん、がん以外の病気でも利用することができます。
対象となるのは、1月1日から12月31日の医療費の合計が10万円を超えた場合、またはその年の総所得等が200万円未満の方はその5%を超えた場合です。忘れずに申告をするようにしましょう。
高額療養費制度
高額療養費制度とは、年収によって個人が負担する1ヵ月の治療費の上限を設けて、その上限からオーバーした分は、公的な保険から治療費が支払われる制度です。
高額療養費制度を利用するには、自分が所属している健康保険組合に申請します。申請方法について詳しく知りたい方は、「医療費を大幅に下げる!高額療養費の申請の仕方・もらい方~申請方法編~」を参考にしてみましょう。
傷病手当金
傷病手当金とは、業務外の病気やケガで、仕事を長期的に休むことになったときに支給されるお金のこと。給料の約2/3の額が最長で1年6カ月間支給されます。会社員や公務員の人が利用することができますよ。
がん治療中は、満足に働くことができず、収入が減ってしまう心配がありますが、それを支えてくれるのが、この傷病手当金なのです。
保険への加入
がんの高額な治療費が心配な方は、保険への加入を検討してみるのも選択肢のひとつです。
一般的ながん保険に加え、働けなくなった時の収入をカバーしてくれる収入保障保険や、女性特有のがんにそなえる保険などもあります。
もちろん、むやみやたらに保険に入る必要はありませんが、がんにかかる治療費を頭に入れておき、保険見直しの際には、自分にとって必要な保障がついているかどうかを検討してみましょう。
自分に必要な保険の種類について知りたい人は、「ライフステージ別に確認を! あなたに必要な保険とは?」をチェックしてみてくださいね。
いかがだったでしょうか。さまざまながんにかかる検査費や治療費について、理解は深まりましたか。万が一の時に備えて、利用することができる制度についても頭に入れておき、がん治療にポジティブに取り組む心構えをしておくことが大切ですね。