大人になると避けて通れないのが「お付き合い」。家族や友人など気が置けない人達との付き合いから、親戚・ママ友・上司や先輩まで、一言に「お付き合い」と言ってもその距離感は様々です。大切な人とのつながりだから、お金を“ケチる”ことはしたくない……。だからと言って、いくらでも予算を気にせず、お金をパアッと使うわけにもいきません。交際費は、家計の中でも管理が難しい項目です。今回は“お付き合い”を上手くこなすために、交際費という項目をどう捉え、どのように扱えばいいのかを考えます。
交際費は節約するべき?
「ちょっと大人なお付き合い」を
実現する交際費の考え方とは。
2017年6月14日
ご祝儀から飲み会まで……どこまで交際費と認めるべき?
交際費と聞いて思い浮かべる支出には、どのようなものがあるでしょうか?
- 現金で渡すもの……結婚祝いやお香典、出産祝い、お見舞い、お年玉など。
- 品物で渡すもの……お中元・お歳暮、記念日の贈り物、旅行のお土産など。
- 自分が一緒に楽しむもの……デート代、友人とのランチ会、職場の飲み会など。
このように、交際費は支払う場面が幅広くあります。油断していると「何でもとりあえず交際費に付けとこう!」という状況になりかねません。一度に出ていく金額が大きいのも交際費の特徴ですから、気付けば交際費が毎月数万円に膨れ上がっていた、という困った事態になることもあります。
ちょっと待って!それ、本当に交際費?
ここで、一度交際費の支出内容を振り返ってみましょう。特に注目したいのが「自分も一緒に楽しむ」パターンの交際費。
もしかしたら「娯楽費」と考えられるものが入ってはいませんか?では、「交際費」と「娯楽費」はどう見分ければいいのでしょうか。
いろんな考え方がありますが、ただその場が楽しくて満足して終わるものは娯楽。その付き合いが未来に活きて、良いつながりを生み出していくものは交際、というふうに考えることもできます。
目的が「今」にあるか、「未来」にあるかという分け方です。未来に目的のある交際費は「投資」と考えることもできますね。
一方で「娯楽」はいけないことなのかというと、そうではありません。楽しむことでこれまでの疲れをリフレッシュできたり、次を頑張る気持ちの充電になったりします。
娯楽費もそういった点では「投資」と見ることができます。ですが、度を過ぎた楽しみ方については「浪費」です。交際費が「娯楽費の浪費」の“言い訳”に利用されていないか、注意して見る必要があります。
交際費が高すぎる場合は、次の2点に注目して見直しを。
娯楽と交際が自分の中で切り分けられたら、次は交際費の中身について見直してみましょう。交際費が高いと感じる方は、次の2点に注目してみてください。
本当に必要なものですか?
交際費は人との「お付き合い」や「おもてなし」のために必要なお金です。ただ、過剰な場合もあります。
例えばランチ会が月に何度も開催されたり、何気なく始まった“差し入れ”が常態化し、だんだん金額が上がっていったりなど。頻度や金額について「付き合うのが苦しい」と感じるようなら、それは“やりすぎ”な付き合いの証拠です。
未来につながる良い縁を生み出しているかを意識すれば、頻度や金額についても自分に合った適正額が見えてくるはず。
一緒にいる仲間も、疑問を感じながら言い出せず、同じ苦しい思いでいる場合もあります。
思い切って頻度や回数を減らす提案をしてみるのも1つの方法です。
見栄を張りすぎていませんか?
見栄を張ることは、つながりを大切にすることとは別問題です。
一見、相手を喜ばせようとしているように見えますが、本心は「自分を等身大以上に良く見せること」が目的になっていることもあります。
自分を良く見せようとしすぎることは、続けるうちに気持ちが苦しくなってくるものです。あまり背伸びをせず、出せる範囲の金額でも十分に気持ちは伝わります。
金額ではなく「贈りたい」「おもてなししたい」というその気持ちを大切にしましょう。
月差の激しい交際費。オススメの管理方法は?
交際費の管理で悩むのは、毎月の予算に差がありすぎること。ガンッと使う月もあれば、あまり使わない月もあり、家計管理を混乱させます。そんな交際費にオススメの管理方法は、年間で予算を組むことです。
行事予定や記念日を参考に、〇月はいくらと予想し、年間でかかりそうな総額を把握します。結婚式やお葬式は突発的に入るので、予算は多めに見ておくと安心です。ボーナスがある人はボーナスで収支を管理する方法が便利です。
ボーナスがない場合は、月々の給料から交際費として積み立てておきましょう。
おごってもらったら、どうする?
お付き合いの中で「おごる・おごられる」場面もありますね。おごられることについては、あまり“借りを作ってしまった”というふうには考えない方がいいでしょう。
「借りを返す」という意識では、その場で、もしくは早いうちに“チャラにしなければ”という気持ちが働きます。すると、同じぐらいの金額の物を早めに返して、無かったことにしようとするような返礼の仕方になってしまいます。
きっと、おごった方は“貸した”というつもりはないでしょう。その気持ちに対して、無かったことにしようとするような返礼では、逆に相手に「してはいけなかったのかな」と気を遣わせてしまいます。
おごってもらった恩は、別の機会に別の形で返せばいいですし、そのとき、同じ金額である必要もありません。
長いスパンで見て「気持ち的にトントン」であればいい、ぐらいの余裕を持って対応しましょう。
交際費は“優しい気持ち”を乗せて巡るもの
今回は交際費について考えてみましたが、家計を見直すとき、交際費を節約することは娯楽と混同している場合を除き後回しで良いと考えます。
見栄を張る必要はありませんが、出したい気持ちをおさえてまで節約する必要もないからです。
初めから見返りを求めて贈り物をするのは間違いですが、出したお金は巡り巡ってまた、自分に返ってくるものです。出さずにそのまま貯金したお金より、一度外を巡って戻ってきたお金には目に見えない価値があります。
交際費は「気持ち」です。娯楽と見栄に気を付けつつ、気持ち良く出せる使い方が「ちょっと大人なお付き合い」を実現することでしょう。