家庭で、子育てや家事など毎日頑張るお母さん。そんな主婦の方のためにある「配偶者控除」を廃止にしようとする動きがあります。どうして今、配偶者控除が廃止される動きがあるのでしょうか?専業主婦の方の家計では、いくらほどの負担が増えるのでしょうか。今回は、配偶者控除について勉強してみましょう。
今話題の配偶者控除
もし「廃止」になったら、家計の負担はどのくらい?
2016年10月20日
そもそも配偶者控除ってどういう仕組み?
2016年10月、「配偶者控除廃止」の動きが一変、見送りとなりました。パートやアルバイトで働いている主婦の方々は、ホッと胸をなでおろした人が多いかもしれませんね。
何かと話題になる「配偶者控除」。では、そもそも配偶者控除とはどのような仕組みなのでしょうか?
まずは、制度の基本を一緒に確認しておきましょう。
配偶者控除とは
配偶者控除とは、おもに妻が専業主婦で収入がない場合、または、妻がパートやアルバイトをしていて年収が103万円以下である場合、夫が受けることができる所得控除のことを指します。
面倒をみなくてはいけない家族(扶養家族)が多いと、夫の負担が大きくなるため、税負担を軽くしてあげようという制度ですね。
国税庁ホームページを見てみると、控除の対象となる配偶者は、その年の12月31日の現況で、以下4つの要件を満たしている必要があります。
1. 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
2. 納税者と生計を一にしていること。
3. 年間の合計所得金額が38万円以下であること。(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。
現在、配偶者控除を受けているご家庭では、これらの条件をきちんと満たしているということになります。
どうして配偶者控除が見直されてるの?
では、なぜ今、この配偶者控除を廃止する動きがあるのでしょうか。
103万円の壁を意識した働き方が原因?
配偶者控除は、別名「103万円の壁」と呼ばれています。
実は、パートやアルバイトなどをしている妻は、配偶者控除を受けるために、収入を103万円以内に抑えようと、あえて働くことをセーブしてしまっている女性が大変多いのです。
年収が103万円ということは、単純に計算すると月収8万6,000円ほど。子供が大きくなり手を離れたご家庭などでは、妻が労働時間を増やすことで、8万6,000円以上稼ぐことができるにもかかわらず、あえて働かないという女性がいるという現状があります。
この現状を鑑み、政府は、アベノミクスで謳われている「女性の活用」という目標に向かって、女性が仕事をセーブすることなく働いてもらうために、配偶者控除という壁を撤廃しようと考えており、「配偶者控除の廃止」を進めていたんですね。
配偶者控除が廃止されると、どのくらい負担が増える?
では、配偶者控除が撤廃されると、一体どのくらい家計の税負担が増えるのでしょうか。
負担額は収入によって変わる!
日本において、所得税の税額は、夫の収入額によって、課税される税率が変わる「累進課税制度」が採用されています。
平成28年10月現在、所得税税率は、年間の収入が低い人は5%、収入が高い人は最高45%になるよう設定されています。
配偶者控除が廃止されると、税率5%のご家庭では、年間に1万9,000円(38万円×5%)の負担増になることになります。
一方、税率45%の最高税率のご家庭では、17万1,000円(38万円×45%)が、配偶者控除の廃止により増税となります。
つまり、配偶者控除が廃止されることで、ご家庭の収入によって、1万9,000円から17万1,000円の所得税の増税となることが予想されます。
配偶者控除の廃止に備えて、さらに収入を増やそうと考えている方は、今から自己投資をして準備することも大切です。キャリアアップする上で知っておきたいお金の話については、こちらの記事を参考にしてみて下さいね。
いかがだったでしょうか。配偶者控除廃止の動きについて、概要を理解できたでしょうか。
配偶者控除廃止は、私たちの生活に密接に関わってくる税制の変更です。
今回は先送りとなりましたが、今後どのような方向に話が進んでいくのかは誰にもわかりません。
ニュースや新聞などの情報にアンテナをはり、政府の今後の動きにぜひ注目してみて下さいね。