人生には「住宅資金」「教育資金」そして「老後資金」の3大資金が存在します。しかし、具体的にそれぞれいくらぐらい必要なのかを知っている人は少ないのではないでしょうか。人生の3大資金について、最新のデータを参考に具体的な金額を把握してみましょう。
具体的にどのくらい必要?
最新のデータで見る人生の3大資金について
2021年4月16日
住宅資金
住宅は非常に大きな買い物なので、自己資金と住宅ローンを組み合わせて購入するケースが多いと思います。その場合の自己資金、つまり頭金はいつまでに、そしてどのくらい準備する必要があるのでしょうか。
一般的に、住宅購入時の自己資金については、物件価格の2~3割程度準備する必要があるといわれています。住宅の価格については、地域や物件の種類によって異なりますが、国土交通省住宅局が発表している「令和元年度 住宅市場動向調査」(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001348001.pdf)によると、分譲マンションの場合4,457万円、注文住宅の場合5,085万円、そして分譲戸建住宅の場合3,851万円となっています。したがって、準備するべき自己資金の目安については、およそ1,000万円~1,500万円程度となります。
また、住宅購入時の平均年齢は、36.8~39.4歳となっており、それまでに上述の自己資金を用意する必要があるということになります。住宅の金額が以前よりも高くなってきていることや、住宅購入の年齢が高齢化していることからも頭金の準備や、住宅ローン返済のシミュレーション等、慎重に資金計画を立てましょう。
最近では頭金なしでも組むことができる住宅ローン商品も存在しますが、自己資金が少ないということは、借入金の増加、そして総返済額の増加にも繋がります。できるのであれば、自己資金を多めに用意し、後々の返済負担を減らすように心がけることが大切です。
教育資金
文部科学省の「平成30年度子供の学習費調査」(https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_01.pdf)によると、1人の子どもにかかる幼稚園から高校卒業までの費用については、ずっと国公立であると仮定してた場合は約500万円といわれています。もし幼稚園から高校まで私立に通った場合の教育費は1,800万円で、その差額は1,300万円にものぼります。国公立か私立かによってかなりの金額の違いがありますが、一般的に、幼稚園だけが私立で小学校から高校までは公立である場合の教育費は約634万円となります。
大学進学となれば、さらに費用がかかることになるでしょう。理系もしくは医学や薬学部、そして音楽大学などの芸術系の場合や、親元を離れて下宿暮らしをする場合は準備金も必要となります。文部科学省が発表している資料「私立大学等の平成30年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」によると、私立大学の初年度の費用については133万円です。しかも、これはあくまでも初年度の費用。4年間通うことを考えるとかなりの費用が必要となってくることがお分かりいただけたかと思います。
教育資金については、家庭の教育方針や子どもの進路希望などを考慮し、子どもが社会人になるまでにいくら必要なのか、概算で構いませんので見積もってみましょう。もちろん一度に全額を用意する必要はありませんが、子供の成長に合わせ、必要資金を準備してくことが大切です。
老後資金
老後資金を考えるうえで、まず知っておかなければならないのは、老後の生活にどれくらいのお金がかかるのかということです。総務省 家計調査報告(家計収支編)2019年(https://www.stat.go.jp/data/kakei/sokuhou/tsuki/pdf/fies_gaikyo2019.pdf)によると、高齢無職世帯の1カ月当たりの実収入については、約20万6,000円(可処分所得)となっています。それに対して支出は約24万円です。ということは、毎月3万3,000円の不足分を老後資金として準備しなければならないことになるわけです。
この不足分を65歳から女性の平均寿命である89歳までの約25年分準備すると考えると、約1,000万円が必要ということになります。さらに、これに加えて介護資金など、いざという場合に備えた資金を500万円と仮定すると、合わせて約1,500万円が老後資金として必要な額ということになります。
趣味や旅行など充実した老後生活を送るためには、さらに多くの資金が必要となります。先々のことでイメージしづらい部分もありますが、自分が考えている老後のライフスタイルに合わせ、どのくらいの資金が必要なのか、そして公的年金や退職金はいくらもらえるのかを確認し、最終的に必要な老後資金について算出する必要があります。
3大資金の中で一番大きい割合を占めるのは住宅資金ですが、2番目に大きいのは老後資金です。また、平均寿命が延びてきて、人生100年時代といわれる今、老後資金については住宅資金を超えて1番大きな資金になりつつあります。特にこれから重要となってくるのが介護費用でしょう。老後について考え始めるのは、子どもが大きくなり、住宅ローンの返済の見直しなどを考える40代後半から50代といわれていますが、心にゆとりのある老後を過ごすためにも、3大資金すべてについて、直前になって慌てることなく、早めに計画し準備しておくことが大切です。
具体的には、「優先順位の低い支出を減らす」「現実的な範囲で運用利回りを高める」「可処分所得を増やす」などといった点に着目し、取り組んでいくようにしましょう。
※本ページに記載されている情報は2021年3月28日時点のものです。