会社で働きながら副業をしている人、これから副業をしたいと思っている人、副業をしながらの会社生活を計画している学生など、副業をライフプランに組み込む人が増えています。
また、副業収入の節税対策としてすでに青色申告を始めている人、あるいは、これからしようと思っている人もいるでしょう。
2020年分から改正されることが決まった青色申告特別控除額の概要と、デメリットを避けるための対策についてご紹介します。
副業の申告どうしてる?
2020年分からの青色申告特別控除額改正について
2019年3月26日
副業のメリットと税金の問題
お金以外のメリットも
柔軟な働き方が広がりつつある中、副業が認められている会社に勤めている人は、副業をする、しないの選択ができるようになっています。副業をすると、下記のようなメリットを得られますよね。
・収入が増える
・スキル向上に役立つ
・新しい人との出会いが増える
・充実した時間が増える
例えば残業がない仕事をしていて時間に余裕があるものの収入面での不安があるとか、本業では得られないキャリアを積むために何かにチャレンジしたいなど、副業に興味を持つきっかけはそれぞれです。
長時間の労働で体や心が疲れてしまったり、本業に支障をきたしたりといったデメリットに気をつける必要はありますが、副業をうまく利用できたら人生がより豊かになる可能性が広がります。
副業をした場合の税金の扱いは?
本業のほうの会社とは別の会社からも給与をもらうようなスタイルの副業、例えば短時間のアルバイトなどをする場合、翌年に確定申告をして所得税や復興特別所得税の精算(正しい税額を納めるための申告)をする必要があります。
一方、フリマアプリでのハンドメイド作品販売などのように、ちょっとしたお小遣い稼ぎのようなスタイルの副業をする場合は、給与所得とは別の雑所得という扱いになります。その場合、年間で20万円に満たない範囲の副業収入であれば確定申告をする必要がありません。
なお、仕入れ代金などが発生する副業の場合、雑所得の経費として認められるため、経費分を引いた収入で20万円になるかならないかを計算できます。経費分を引いた上で月平均16,500円程度の副業収入だったら確定申告が不要(※)ということですね。
※ただし住民税の申告は必要
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm)
事業として定期的な収入を得る場合
さて、年間20万円の小さな枠にとらわれず、副業をしっかり頑張りたいという場合の税金はどうなるでしょうか。例えば趣味のハンドメイド品を定期的に販売し、事業として収入を得るような副業のケースです。この場合、雑所得ではなく事業所得とできる可能性が高くなります。
雑所得にするケースと事業所得にするケースの違いについて、A子さんの例で考えてみましょう。
・フリマアプリを利用し、趣味のハンドメイド作品を不定期で販売していたとき
(1) 雑所得とし、年間で20万円に満たなかったため確定申告はしなかった(販売実績などお金の出入りに関する書類や経費としてかかった物品の領収書などは保管)
(2) 所得税がかからなくても住民税を払う必要があるため、自治体の市民税・県民税申告書で収入の申告をした
・定期的にハンドメイド作品を販売できる見込みが立ち、事業にすると決意したとき
(1) 事業にしようと思ってから1カ月以内に「開業届」を税務署に提出した
(2) その年の3/15までに「青色申告承認申請書」を税務署へ提出した
(3) 複式簿記による帳簿付けを行った
(4) 事業所得として青色申告による確定申告を行った
事業所得にすると、青色申告という確定申告の制度が使えるようになり、青色申告ならではの節税メリットを得られます。青色申告にはいくつかのメリットがあり、そのうちの一つが65万円の税額控除です。帳簿付けが簡単な白色申告を選択してもよいのですが、節税メリットの高い青色申告のほうがおすすめです。
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm)
2020年分からの改正とは
申告方法や帳簿保存方法で控除額が変わる
副業の事業所得がある場合に、青色申告で申告をすると65万円の控除を受けられるメリットについては先ほどご紹介したとおりです。しかし、税制改正により、2020年分から青色申告特別控除額が減額されることが決まりました。10万円減額され、控除額が55万円となってしまうのです。
ただし、ある条件を満たすと現行のまま65万円の控除を受けられます。条件とは下記2つであり、どちらかを満たせばOKです。
・e-Taxで申告を行う
・電子帳簿保存をする
電子帳簿保存とは、帳簿を紙で印刷して保存するのではなく、電子データとして保存することをいいます。なお、市販の会計ソフトを使う場合に、どのソフトでもOKというわけではなく、例えば記録の訂正・削除の履歴を確認できる機能が必要といった要件もある点に注意が必要です。
条件を満たすための準備
既にe-Tax申告を行っている人は、そのまま条件を満たすことになるので、これまでどおりでOKですね。新しくe-Taxを始めようと思う場合は、マイナンバーカードやICカードリーダライタ(あるいはマイナンバーカード読み取りに対応したスマホ)を準備する必要があります。
電子帳簿保存をする場合は、帳簿の備付けの3カ月前までに税務署への申請が必要となります。
どちらの条件を選ぶにしても準備が必要となる場合があるため、どちらの手間が自分にとって楽なのかを考えて決めておくとよいでしょう。
出典:国税庁(https://www.nta.go.jp/publication/pamph/shotoku/h32_kojogaku_change.pdf)
副業を事業としてしっかりやっていく人にとって、青色申告は魅力のある申告方法です。10万円分のプラスメリットを得るために、余裕のあるタイミングで改正後の条件を満たす準備をしておきましょう。