会社を辞めてフリーランスや自営で働く女性が増えていますね。自分の好きを仕事にできるのはうれしい反面、健康保険や年金などの社会保障は会社員時代の方が優遇されていたなと感じている女性も少なくありません。
そんなあなたに朗報です!2019年4月から国民年金に加入している女性も会社員と同様に、産前産後に休業したとき、一定期間の国民年金保険料納付が免除されることになりました。今回は産前産後休業時の年金保険料制度について解説します。
フリーランスの女性も安心!
産前産後の
国民年金保険料免除を知っておこう
2019年4月6日
社会保障の充実度、会社員とフリーランスでこんなに違う!?
ひとくちに社会保障といってもさまざまなものがありますが、長いライフプランのなかでも重要度が高いものは公的医療保険と公的年金といえるかもしれません。
そもそも社会保障は日本に住むすべての人に対する保障ではありますが、会社員かフリーランスかなど、働き方によって加入する保険が違います。
- ・公的医療保険
- 会社員:健康保険(「協会けんぽ」または「健康保険組合」)
- フリーランス:国民健康保険(※)
※ほかにも選択肢はあります。詳しくは「フリーランスの健康保険、選び方で変わるお財布事情とは?」の記事をチェックしてくださいね。
- ・公的年金
- 会社員:厚生年金保険
- フリーランス:国民年金保険
内容はどう違う?
医療保険も年金も、会社員が入る保険とフリーランスの人が入る保険では、その充実度に差があります。
たとえば医療保険の場合でいうと、傷病手当金や出産手当金などのように会社員にはあって、自営業者やフリーランスにはない保障もあります。
年金の場合でも、「ちゃんと答えられる?公的年金のイロハ」で詳しく説明しているように将来の年金額に大きな差があるのが通常です。
ほかにもさまざまな違いはありますが、一般的には会社員への保障のほうが充実度は高いといえます。
産前産後期間の保険料免除制度とは?
2019年4月から一定期間の国民年金保険料納付が免除になる「産前産後期間の保険料免除制度」。もともとは会社員が入る厚生年金だけにあった制度です。
会社員では出産で休業した時には健康保険から出産手当金が支給されますが、自営業者やフリーランスでは休業すると収入が途絶えてしまう場合がほとんどです。
そうでなくても出産時から子どもの出生後にかけて何かとお金がかかりますから、保険料の支払いが免除になれば金銭面での安心度が高まりそうですね。
しかし、自ら申請しないと免除にはなりません。条件や申請方法をきちんと理解しておきましょう。
免除期間
出産予定日または出産日が属する月の前月から4カ月間の保険料が免除されます。
多胎妊娠の場合は、出産予定日または出産日が属する月の3カ月前から6カ月間の免除です。
- ケース1:2019年6月に出産予定
- 2019年5月・6月・7月・8月の保険料が免除になります。
- 国民年金保険料は月額16,410円(平成31年度)ですから、65,640円分の負担減になります。
- ケース2:2019年4月に出産予定
- 本来なら出産月前月の3月から4カ月間の保険料が免除になりますが、免除制度の開始自体が4月なので、4月分・5月分・6月分の3か月分免除です。49,230円分の負担減になります。
申請方法
住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口へ申請書を提出します。
申請書は年金事務所または市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口で入手するか、ホームページからもプリントアウトできることになっています。
年金保険料免除制度利用で将来の年金額はどう変わる?
国民年金保険料は原則として毎月納めなくてはなりません。そうしなければ将来、年金受給年齢に達したときに年金を受け取れないか、受け取れても減額されてしまいます。
とはいえ、経済的に払い込みが困難な場合もあり、条件を満たし、かつきちんと手続きを取ることで保険料が免除になり、納付が猶予される制度があります。
しかしながら、将来受け取る年金は、原則として保険料の納付状況によって変わります。
たとえば、
- ケース1:免除申請をせずに未納
- 保険料を納付していない期間分の年金は受け取れません。未納期間が長く、年金受給資格を満たさない場合にはまったく受け取れなくなります。
- ケース2:払込困難で保険料全額免除
- 免除期間については全額納付した場合の年金額から2分の1に削減されます。
- ケース3:産前産後期間の保険料免除
- 免除された期間も「納付したもの」とみなされます。年金額は全額納付の場合と同様に計算されます。
国民年金に適用されることになった産前産後期間の保険料免除も、きちんと手続きをすれば将来の年金額への影響はありません。しかし手続きをしなければ、未納とされてしまいます。該当する人は忘れず申請手続きを取るようにしてください。
自助努力もやっぱり必要
今回の産前産後期間の保険料免除制度によって、フリーランスと会社員の社会保障の差が少しだけ縮まりました。フリーランスだから休めない、仕事を休んだ時のお金はどうしよう……と考えていた人には朗報なのではないでしょうか。
とはいえ社会保障は個々人の生活費を満たすものではありません。収入減となる場合や、まとまったお金が必要になる場合に備え、貯金や保険加入などで自助努力をすることも大切です。
フリーランスとして自分自身で仕事の途を切り拓くのと同様に、お金の面でも自分自身で経済的な安心を築いていきましょう。