住宅ローン控除は、年末ローン残高の1%が税金から控除されるとてもおトクな制度です。しかし、床面積に制限があったり、誰から購入したかで控除限度額が変わったり、繰上返済したら控除を受けられなくなったり・・・など、気を付ける点がたくさんあります。
意外と多い!住宅ローン控除の落とし穴とは?
2020年4月17日
住宅ローン控除とはこんな制度
住宅ローン控除とは、ローンを組んで持ち家を購入した場合に、年末ローン残高の1%を10年間(2019年10月1日以降購入は13年間)にわたって所得税から差し引く制度です。所得税から引ききれない場合には、引ききれない金額を住民税から差し引きます。
住宅ローン控除は控除額が大きいため、10年間所得税がゼロになることもあるとてもおトクな制度です。
住宅ローン控除の落とし穴5つを解説
住宅ローン控除は、ローンを組んで持ち家を購入すれば誰でも使えるというわけではありません。住宅ローン控除の適用に際し気を付けるべき5つの点を解説します。
1.床面積制限に注意
住宅ローン控除を受けることができる持ち家は、床面積が50㎡以上であることが要件です。
最近キャリア女子の間で一人暮らし向けの分譲マンションを購入することが増えていますが、このような物件は床面積が50㎡未満であることが多いため、住宅ローン控除を受けたいと考えている場合には確認が必要です。
2.ローンの返済期間が10年以上でなければならない
住宅ローン控除は、ローンの返済期間が10年以上でなければなりません。
住宅ローンを借り換える場合、借り換えたローンの返済期間が10年以上であれば引き続き住宅ローン控除を受けることができますが、10年未満であれば借り換え後は控除を受けることができなくなります。
また、繰上返済をするときも期間に気を付ける必要があります。
利息が減るのと住宅ローンを引き続き受けるのとではどちらが有利か検討しましょう。
3.中古住宅には固有の要件あり
中古住宅を購入する場合、次の要件を満たす必要があります。
① 築年数の制限
住宅の建築日から取得の日までの期間が、
・マンションなどの耐火建築物:25年以下
・それ以外:20年以下
② 耐震機能を有していること
中古住宅を購入する場合には、住宅ローン控除を受けることができる物件かどうか、不動産屋さんに確認しましょう。
4.住宅取得資金贈与の非課税の特例との併用との注意点
持ち家の購入に際して、親や祖父母からの資金援助を受け、残りを住宅ローンで賄う人も多いでしょう。
・持ち家を購入するための資金援助:最大3,000万円までの贈与税の非課税
・住宅ローン部分:住宅ローン控除
の適用を受けることができます。
これらは併用できますが、住宅ローン控除については次のいずれか低い額の1%になります。
・年末ローン残高
・持ち家の購入金額-住宅取得資金の贈与の適用を受けた資金援助額
5.持ち家を業者から購入した場合と個人から購入した場合では控除限度額が違う
住宅ローン控除の限度額は、持ち家を誰から購入したかで控除限度額が違います。
2020年中に持ち家を買った場合の控除額は、
・新たに建築、または不動産屋さんから購入した場合には年間最大40万円(認定長期優良住宅等は最大50万円)
・個人から中古物件を購入した場合には年間最大20万円
と、倍も違うのです。
違いの理由は、建物に消費税が含まれているかどうかです。不動産屋さんから購入した場合には消費税がかかるけど、個人から購入した場合には消費税がかかりません。
不動産仲介会社を介して買うことが多いので不動産屋さんから買ったと思いがちですが、中古物件の場合、売主が個人というのはよくあるケースです。
不動産登記簿謄本で前の持ち主が誰だったのかを確認しましょう。
上で挙げた5つの他にも「年間の所得金額3,000万円以下でなければならない」や「買ってから6ヶ月以内に住み、適用を受ける年の12月31日までに引き続き住んでいること」「併用できない特例がある」など、要件がたくさんありますので気を付けましょう。
持ち家を夫婦共有名義で購入する場合の注意点
持ち家を夫婦共有名義で購入するときは、それぞれ購入資金をいくら出すかで持分を決めます。
それぞれの負担額は、自己資金だけでなく住宅ローンも含まれ、夫婦ともに住宅ローンを組めばそれぞれ住宅ローン控除を受けることができます。
持ち家を夫婦共有で購入する場合、こんな落とし穴があるので注意しましょう。
1.土地と建物をそれぞれの名義にすると、土地の名義人は住宅ローン控除を受けることができない
例えば、持ち家の名義を「土地は旦那さん」「建物は奥さん」としてそれぞれ住宅ローンを組んだ場合、住宅ローン控除を受けることができるのは建物を持っている奥さんだけです。
夫婦ともに、土地・建物の住宅ローン控除を受けたい場合は、土地と建物をセットにして共有する必要があります。
2.持分を適当に決めると贈与税が課されるリスクあり!
共有の場合、それぞれがいくらお金を出したかに合わせて持分を決めますが、この持分を適当に決めてしまうと、贈与税が課されるリスクがあります。
例えば、5,000万円の持ち家を旦那さんが4,000万円、奥さんが1,000万円出して購入した場合に持分1/2としたら、旦那さんから奥さんへ5,000万円×1/2-1,000万円=1,500万円の贈与があったものとして贈与税の対象になります。
不動産の持分は登記されるので、税務署はそれを見て購入資金がなさそうな人が家を買った場合には、購入資金の出所を聞いてくることがあります。
持分は慎重に決めましょう。
まとめ
住宅ローン控除は広く使われている制度ですが、注意点も多々あります。
控除額が大きいだけに、使うことができなかったとしたら今後のマネープランに大きく響いてしまいます。
国税庁ではチェックリストを公表しているので活用し、わからないことがあれば問い合わせることをおススメします。
(※本ページに記載されている情報は2020年4月2日時点のものです)