例えば「生命保険料控除」のように、所得税を計算するときに所得または所得税額から控除できるものがたくさんあります。年末調整で出し忘れても確定申告できますし、もともと自分で確定申告しなければいけないものもあります。確定申告すればどれくらいおトクか、どんなものが控除できるのか、給与所得者の場合についてお伝えします。
見逃してない?給与取得者のための
確定申告すれば得する24個の所得控除・税額控除
2019年12月5日
1.所得控除
給与所得者の場合、所得とは、収入金額から給与所得控除された金額になります。所得税は、この所得から所得控除を差し引いた残りの課税所得に対して税率を適用して計算します。
年末調整できるもの
・給与所得控除
給与収入によって控除額が決まっていて、通常、納税者が申告しなくても自動的に計算されています。国税庁のホームページなどで確認することができます。
・基礎控除
納税者一律38万円です。通常、納税者が申告しなくても自動的に控除されています。
・扶養控除
扶養している家族がいる場合、扶養者の年齢や同居かどうかによって控除額が決まります。16歳以上38万円、19歳~23歳未満63万円、70歳以上同居以外48万円、70歳以上同居58万円となっています。
・配偶者控除
配偶者の所得が38万円以下の場合、最大38万円受けられます。ただし、納税者の年収が1,000万円以下という条件があります。
・配偶者特別控除
配偶者の所得が38万円を超えて123万円以下の場合、最大38万円受けられます。ただし、納税者の年収が1,000万円以下という条件があります。
・社会保険料控除
給与所得者の場合は、健康保険、厚生年金、介護保険料、雇用保険料、厚生年金基金の掛け金が控除できます。
・小規模企業共済金等掛金控除
iDeCoに加入している場合の掛け金を全額控除することができます。
・障害者控除
納税者自身、または家族が障害者の場合受けられます。3つの区分があり、27万円・40万円・75万円のどれかが控除できます。
・勤労学生控除
納税者がアルバイトなどをしている学生の場合に受けられます。控除額は27万円です。
・寡婦控除・寡夫控除
納税者が夫を亡くした独身女性、または妻を亡くした独身男性の場合に受けられます。控除額は条件によって27万円または35万円です。
・生命保険料控除
生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料、それぞれ4万円まで控除できます。
平成23年(2011年)12月31日以前の契約の保険については、生命保険料、個人年金保険料、それぞれ5万円までの控除になります。
・地震保険料控除
損害保険の地震保険に該当する部分について、5万円まで控除できます。
確定申告が必要なもの
・雑損控除
災害や盗難などの損害を受けた場合に受けられます。差引損失額(損害金額+災害関連支出-保険などの補てん)-総所得金額×10%、または、災害関連支出-5万円、どちらか多い方が控除できます。
・医療費控除
年間10万円以上の医療費がかかった場合、最大200万円まで控除できます。また、薬代が12,000円~10万円だった場合、セルフメディケーション税制も利用できます。
・寄附金控除
ふるさと納税など、寄附金総支出額、または総所得の40%、いずれか少ない方から2,000円を引いた額が控除できます。一定のものについては、税額控除との選択制になります。
2.税額控除
所得から控除できるものをすべて控除した後、税額が計算されますが、ここからさらに控除できるものが税額控除です。
税額控除の種類はもっとありますが、給与所得者が利用できるものには以下のようなものがあります。住宅に関する控除はどれか一つの選択制になります。
年末調整できるもの
・住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)
住宅ローン残高の1%(最大40万円)が控除できます。ただし、ローンを借りた最初の年は確定申告が必要です。2年目以降は年末調整できます。
確定申告が必要なもの
・配当控除
株式の配当金を受け取った場合、総合課税の配当所得の決められた割合が控除できます。
・外国税額控除
外国で発生した所得があり、そこで所得税を払っている場合。外国で発生した所得と国内の所得を合わせた総所得から所得税を計算し、そこから外国で発生した所得割合分を控除します。
・政党等寄附金特別控除
政党等へ寄附を行った場合、2,000円を差し引いた額の30%が一定限度額まで控除できます。
・認定NPO法人等寄附金特別控除
認定法人等へ寄附した場合、2,000円を差し引いた額の40%が一定限度額まで控除できます。
・公益社団法人等寄附金特別控除
学校などに寄附をした場合、2,000円を差し引いた額の40%が一定限度額まで控除できます。
・住宅耐震改修特別控除
住宅の耐震改修を行った場合、標準的な費用の10%(最大25万円)
・住宅特定改修特別税額控除
住宅の省エネ改修工事を行った場合、標準的な費用の10%(最大35万円)
・認定住宅新築等特別税額控除
一定の条件を満たした優良住宅などを新築した場合、標準的な費用の10%(最大65万円)
以上、年末調整で出し忘れたもの、確定申告で控除できると知らなかったものなど見つかったら、ぜひ確定申告をしましょう。また、控除額の計算方法など詳細は国税庁のホームページや最寄りの税務署で確認してください。
(※本ページに記載されている情報は2019年12月5日時点のものです)