高齢化社会が進む中、一つの会社で定年まで働けば安泰という時代は終わりを告げようとしています。定年後に新たな仕事に就くというのは大変です。現役時代の今から、長い老後にも収入を得られるような働き方を模索している人は多いのではないでしょうか。その一つの答えとして“パラレルワーカー”があります。
人生100年時代の働き方
パラレルワーカーってなに?
2018年8月1日
パラレルワーカーとは
複数の仕事を並行して行い、複数の収入源を持つ人のことをパラレルワーカーと言います。パラレルとは英語で並行、並列を意味しますが、パラレルワーカーは和製英語です。
副業と混同しますが、厳密に言うと、補助的な収入としての“副業”とは異なり、主収入となり得る仕事を複数持つニュアンスです。一方の収入が途絶えても、他方で生計を維持することができるため、リスクを抑えることができます。
もちろん、副業が大きくなり主たる収入源となれば、パラレルワークになります。
会社員でもパラレルワーカーになれる?
今年1月に、厚生労働省が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」をまとめました。それにより、副業を解禁する企業が今後ますます増えてくるでしょう。
今までは、会社員として働いている場合、安定した生活を会社が保証してくれていたので、副業は禁止されていました。副業が解禁になったということは、裏を返せば、「会社はそこまで面倒は見ません」と宣言したことになります。
副業を解禁している企業に勤めている人は、むしろ積極的に副業をしていかなければならないと思った方がよいでしょう。
二つの会社の社員になることも、珍しくなくなるかもしれません。
パラレルワーカーのメリット
パラレルワーカーにはどんなメリットがあるのでしょうか。
収入が増える
複数の収入源があるので、収入が増える場合が多いでしょう。たとえ一つの収入源が減っても、トータルで増えていれば、パラレルワーカーとして成功していると言えます。
リスクヘッジになる
一つのビジネスが失敗しても、別口の収入源があることでリスクを抑えることができるのは、パラレルワークの大きなメリットです。
これから先、勤めていた会社が倒産する、リストラにあうなど、起こり得ないことではないと考え、リスクに備えることが重要となってくるでしょう。
視野が広がる
一つの会社に長く勤めていると、その業務に長ける一方で、どうしても視野が狭くなっていきます。パラレルワーカーとして複数のビジネスに携われば、今まで気づかなかった世界が見えてきたり、人脈も広がります。
スキルが身に付く
一つのスキルを磨くことも大切ですが、もし、そのスキルが活かせなくなった場合はリスクが生じます。
複数の仕事を行うことは、スキルが増えることにつながり、また、複数のスキルを掛け合わせることで、新たな価値が生まれることがあります。それによって、収入アップも見込めるかもしれません。
パラレルワーカーのデメリット
パラレルワーカーはいいことばかりとは言えません。気を付ける点がいくつかあります。
時間管理が難しい
複数の仕事を掛け持ちしてこなしていくわけですから、仕事量も増え、限られた時間内でどのようにして業務を行うのか、スケジュール管理が肝となります。
場合によっては、休みなく働かなければならないなど、忙しさは覚悟する必要があるかもしれません。しかし、これは必ずしも、“パラレルワーカーは時間に追われる”ということではなく、時間管理が上手にできれば、解決できる問題です。
個々のクオリティが下がる可能性がある
1人の人間が出せるパフォーマンスは限られています。それらを複数の仕事に振り分けるわけですから、一つに集中した場合よりもクオリティが下がる可能性は大いにあります。しかし、ビジネスでクオリティが下がってしまうのは致命的です。これを回避するためには、自分がやる必要のない仕事は外部に依頼する、IT技術を駆使して効率化を図るなど、自分の能力以上のことができるようにレバレッジをかけてやって、生産性を上げることで解決できます。
パラレルワーカーの税金の納め方
最後に、パラレルワーカーとして働く場合の税金(所得税)についてお話しします。
会社員であれば、会社が年末調整をしてくれるので確定申告をする必要はありませんが、副業としての利益が20万円を超えたら、会社員であっても確定申告をしなければなりません。
副業が雑所得の場合、給与所得と合算され、総合課税として税率を計算し直して所得税を納めます。
また、2か所以上から給料をもらっている場合は、2通りの方法があります。
(1)メインの会社で、副業先の給与を考慮して、年末調整をしてもらう
(2)副業先の給与は自分で確定申告をする
(1)は副業先の会社から源泉徴収票を発行してもらい、それをメインの会社に提出して、メインの会社は副業先の給与も含めて年末調整をします。
(2)はメインの会社の年末調整の時期に、副業先からの源泉徴収票の発行が間に合わない場合、あるいは、メインの会社に副業を知られたくない場合(※)などは、副業先の給与を集計して自分で確定申告をします。
※確定申告をしても、住民税の特別徴収(給与からの天引き)によって知られてしまうことがあります。
パラレルワーカーとして働く場合、収入や経費、税金など、会社員だけやっている場合と比べ、お金の流れについて気に掛ける必要が出てきます。しかしこうした知識や経験は、これからの時代を生き抜くためには、とても重要になってくると思います。
まとめ
二つ以上の仕事をこなし、それぞれで成果を出すパラレルワーカーは、メジャーリーグで活躍する大谷選手のような「二刀流」のスーパーマンに思えてきます。ですが、どんな分野でも専門性を持って仕事をすれば、おのずとプロフェッショナルになれるものです。
重要なのは、仕事をしていく上で常に、スキルをアップデートしていき、世の中で需要のあるものにしていく努力を怠らないことです。
そして、その経験や知識を本に書けば執筆業、皆に話せば講師業、生徒に教えれば先生になれます。これらを全部やればパラレルワーカーです。
こうした働き方は、会社の規定に縛られないので、老後も長く続けていくことができ、まさに人生100年時代の働き方と言えます。
どうですか? あなたもパラレルワーカーになれそうに思えてきませんか?